秋元雄史のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
直島のアートプロジェクトを手がけた筆者の、立ち上げにまつわる苦労話やエピソードを紹介。
特に、迫力あるのは、ジェームスタレルを招聘した南寺という作品だろう。体験型のこの光のアーティストは、長い時間をかけて光が飛び込んでくる様をアートにした。実際、ちょっと不安になるくらい真っ暗だから、人はいかに暗闇を畏怖するのかと思ったくらい。
そして、モネの睡蓮を飾ることになる地中美術館、これはMOMAで目の前にしたモネの絵の感動と、同じくらい素晴らしい体験だった。教会のようだという表現が本書にもあったが、まさにそんな神聖な感覚を持つ。こんな美術館は他にない。自分がどこにいるのか一瞬忘れるような体験。そして、 -
Posted by ブクログ
「豊島」に行ったことがある
それも海路を伝い船で行ったことがある
もう何十年も前のことである
瀬戸内海の汚染の傷跡を巡る旅だった
「豊島」の港に降り立った時に
産廃の撤去運動をしておられた
猟師さんのお話を聞かせてもらった
そのすぐ近くに
「直島」という島があることを
教えていただいた
「直島」が現代アートの聖地と呼ばれるようになった
と見聞した時に
東京の「両国」のことを想ってしまった
江戸期に刑場としてあった場所が
そののち見世物小屋、芝居小屋、相撲興業、…
いわゆる庶民が寄り集う歓楽街になっていった
という史実を重ねていた
そんな意味で気になっている場所の
一つが この「直島」である -
Posted by ブクログ
ネタバレアートとビジネスというテーマだけでなく、「現代アート」って何?や、どうやって作品を介しアーティストとコミュニケートするかというようなことをサクサク(いい意味で)ライトに説明されているのが入門書として良い。
一点、私はアートに関心がある方ですが、端々の「アート、わかったほうがいいスよ?」なやや上から目線な書きぶりだけ気になった。(日本の文化/美術教育・政策に疑問を呈したいというのは共感しますが)
最も感銘を受けたのは第3章で、茂木先生の事象の読み取り方は「文脈」と「感動」であり、ストーリー(文脈)だけではわかったことにはならず、経験に昇華するには「感動」が必要であるという話を読んでいて、私が好 -
Posted by ブクログ
冒頭に
「どんな角度から考えても『アートとビジネスはまったく異なる』。これが正直な感想です。」
とある。えっ、と思わされるだろう。しかし本書は
「アートは、直接、ビジネスのヒントになるかどうかはわかりません、はなはだ心もとないというところではあるのですが、今の社会を考えるにあたって、これまでの視点では得られなかった考え方やものの見方を得るきっかけになるのではないかと思います。ビジネスもアートも人の暮らしの上にある以上、どこかで共有すべきものがあるでしょう。」
と結ばれている。
この間にあるもの探しながら読んでいくと、いろいろと見えてくるものがあるだろう。
それは簡単ではない。わかりやすくもな -
Posted by ブクログ
ネタバレ・何かを考える上で、判断する上での新しい視点を得ることができたと思う。(特にビジネスにおいて)
・大きなキーワードは「そもそも何が問題なのか」、「ゼロベースで考える」
・起業や新たな取り組みを始める際に、特に参考にしたい。(もちろん既存の取り組みや、何かを判断するときにも大いに参考になる)
・ビジネスにおいては、「改善」ではなく、既存のものとは全く違う発想で、ゼロベースで考えることが、非連続的な成長を生み出すと感じた。
・現代アートを構成する3要素「インパクト:他と違ったオリジナリティ」、「コンセプト:どんな考えによって作品が生み出されているか」、「レイヤー:いくつもの解釈が可能ということ。」 -
Posted by ブクログ
第1章 すべては遠いから始まる
p62 現代アートは現在の人間像について多角的に考えて未来に向けてさらなる可能性を持つ新たな人間像を求め人間の概念を拡大することに挑戦する試みである
第2章 アートとビジネスの交差点
p86 言葉以外の感覚も総動員して理解を深めていく事はどんなに便利な世の中になっても必要なこと。言葉と感覚からなる美術が現代アート
第3章 イノベーションを実現する発想法
p144 アートは大量生産のプロダクトではなく誰もが必要とするものでもない。指向性が強く人を選ぶものである。
第4章 アートと資本主義
p153 作品に込められた作者の思いや哲学が人々から「価値がある」、つ -
Posted by ブクログ
デザイン思考とアート思考の違いについて理解したいモチベーションで購入
特にアート、展示がどのようにビジネスに直結しているか、アートを展示する、制作する側になった場合に、どういう意味づけをするかを考えるための1つの材料になり得るか、という疑問解消も、購入のモチベーション。
読後の感想としては、結論アートとは問いかけであり、解があるモノではなく、読者の美術レベルの知識背景などに応じて、その作品への理解度が変わる、状況や歴史によって変わることが改めて理解でき、解を求める姿勢そのものが違うかもしれない、という感想。
本書以外にも言及されているように、デュシャンの便器のアート作品から現代アートが始まった