医療テクノジーは、人間の機能を向上(エンハンス)させる時代が、すぐそこに来ているどころではなく、もう来ているので、それを受け入れる前提で、いろんなことを考えていきましょう、という本。
著者自身も、胃の疾患でペーサーと呼ばれる埋め込み型医療機器を使用して、快適に暮らしているという。実際に、人の身体が電
...続きを読む気化学的な現象でコントロールされており、様々なテクノロジーを取り込んだり協調したりすることもできる、という言葉には重みがある。
生物学的なものとか、人工的なものとか、由来は関係なく、ハードウエアとして人体に統合してしまい、身体の機能が著しく向上させることも可能になっている。
最近読んだLife spanと同系統の書籍だが、倫理面の考察は深く、とても考えさせれる。
本書のいうように、単に自然のものではないとか、人間っぽくないとか、神の領域に踏み込むべきではないとか、言っていても、治療の先にあるものが、すでに現実になってしまっているので、とにかく議論してこーぜ、という主張はその通りでしょう。
すでに人工心臓は存在しているし、脳への電極埋め込みも臨床が進んでおり、人工膵臓、人工腎臓も非臨床で確かめられている中、これらが全部埋め込まれた患者さんがいたとして、実は、寿命が凄い長くなったりするかもしれない、一方で、そこまでして治療されてなくない、という人もいるでしょう。自分が直面したらどうするかと、とても考えさせられました。