佐藤大介のレビュー一覧
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韓国の人にとって국정원(国情院)という言葉は広く知られている。
中央情報部(KCIA)を発祥とする韓国の国家情報院は、時に大統領と肩を並べるほどの権利を持ち、民主化運動の時代には市民に徹底的な弾圧を加えた。
日本では、公的に存在の認められている国の情報機関は、大きく5つある。内閣官房内にある内閣情報調査室、法務省の外局である公安調査庁、警察庁警備局が統括する公安・外事警察、防衛省・自衛隊の情報本部、外務省の国際情報統括官組織だ。
米国では対外情報機関として中央情報局(CIA)があり、諜報機関として連邦捜査局(FBI)を持っている。
国情院は対外情報機関と諜報機関の2つの役割を担った巨大組織であ -
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KCIA、国家安全企画部を経て、1999年に誕生した国家情報院。情報機関として現在さまざまな活動をしているが、予算や人員など多くのことは依然として謎に包まれている。本書は国家情報院のみならず、これまでの韓国の情報機関の歴史や日本との関係について取り扱う。本書で言及されているが、韓国の情報機関はKCIA以前から存在しており、1902年高宗により設立された帝国益聞社が起源とされる。朴正煕政権時にKCIAが設立されてCIAを理想としていたが、組織の活動はKGBに近かった。これは幹部の多くが日本の植民地時代に軍、警察で情報、諜報の教育を受けたことで、CIAの組織論に馴染まなかったと指摘される。その後、
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共同通信の記者として4年近くニューデリー特派員を務めた佐藤大介氏が、トイレという切り口でインドに光を当てた力作です。各地におもむき、現地で色々な活動をしている人たちを取材することにより、非常に質の高いルポになっています。
モディ首相肝いりの「スワッチ・バーラト」運動で、トイレはある程度出来たものの、形だけであったり、下水処理が追いつかなかったり、等の現実が紹介されます。人口が集中する都市では排泄物が下水処理されずに河川に垂れ流されるため、川の水質汚染が悪化しているのに、人々はその流れで沐浴をするという恐ろしい話もあります。もっとも驚いた内容は、排泄物の処理はダリットという不可触民たちの仕事 -
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世界的に死刑廃止に動いているなか、日本は数少ない死刑存置国である。
2021年、死刑廃止国は108に上る。10年以上執行がないなど、事実上の死刑廃止国を加えると144カ国に上ると言われている。
一方、死刑存続国は日本や中国、北朝鮮、イランなど55カ国。
先進38カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の中では日本と米国だけのようだ。
つい最近も19歳の特定少年の死刑が確定された。
だが、我々日本人は死刑存置国で暮らしていながら、死刑制度についてよく知らないでいる。
自分は死刑廃止派ではあるのだが、なぜ? と問われると結構ぼんやりしていて、はっきりとこういう理由で反対だ、と言えないでいる。
別 -
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最高に面白かった。医学書ではないけれど、医療に関してガッツリ書かれている本。
若手医師が読むと確実に刺さる内容がいっぱい散りばめられていると感じた(というか、自分には刺さる内容が沢山あった)
自分のやりたいことは、最近「病気治し」よりも「病気になりかけの人を良くすること」だと感じている。1番自分の中で印象に残っている患者も、入院している重症患者や高齢者ではなく、外来で(当初あまり使われていなかった)SGLT2阻害薬を導入してDMや心不全や肥満が改善した、明らかに「予後が伸びた」と感じることのできた中年男性だった。
また、小さい子を育てている層の患者(腎臓内科ならIgA腎症の患者が多い)の慢 -
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以前他の本を読んである程度知っていることも多いと思っていたが、この本では加害者側の葛藤だけでなく、被害者遺族や加害者家族、刑務官など、死刑にかかわる人たちの葛藤が多面的に描かれていて、視野が広がった。
加害者自身が取り返しのつかないことをしてしまったと自覚して、反省する心情は耐えきれない苦悩なのだと感じた。
そういう人たちに対して本当に死刑執行していいのかわからないという過去の法務大臣の言葉が印象的で、人が人を裁く難しさを痛感した。
何が正しくて、どうすることが正義なのか、全くわからない。
それでも、被害者の苦痛や恐怖、残された遺族の悲しみ苦悩に共感できた時、それがまさに自分の行為によっ -
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サブタイトルは「下から見た経済大国インド」~携帯電話の契約件数は11億以上。トイレの無い生活を送っている人は約6億人。インド首相のナレンドラ・モディが提唱した「スワッチ・バーラト」が成功を収めたのは2019年。クリーンインドを目指すトイレ普及運動だが、どうやら各段階での忖度の積み重ねだったらしく、補助金と借金で家の敷地内にトイレを作っても使わないのは、地下のタンクの汚物の除去に金が掛かるというだけではなく、インド人が不浄とする排泄物は、脂肪・血液・ふけ・耳垢・痰・涙・目やに・汗・鼻汁・精液・小便・大便で沐浴などによって清められなくてはならないとされる。トイレも不浄のもの。乾式トイレが普及してマ
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■まとめ
中国輸入ビジネスの基礎が分かる本。
分かりやすく書いてあって数時間で読み終えられる。
しかしその分内容はかなり浅い。初学者が一番初めに読むなら良いが、ある程度知識がある人からしたらほぼ知っている内容だった。
それでも体型立てて書いてあるので参考になった。
やる気の出る本でもあるので、重要箇所だけまた見直しても良いと思う。
■輸入原価の計算式
輸入原価=(商品単価+送料単価) × (為替レート+関税率+消費税率)
■以外、印象に残ったフレーズ
失敗してしまうとすれば、それは途中でやめてしまうこと。どんなビジネスでも、途中でやめてしまえば稼ぐことができません。
私たちが使える資源 -
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トイレから覗く現代インド事情
本書は、現地の日本人記者がトイレ事情から現代のインドを語るというもの。
モーディ首相の看板政策、スワッチ・バーラト政策。野外での排泄が今でも普通なインドにおいて、1億2000万基のトイレを設置して、野外排泄をゼロにするというもの。
野外排泄の問題点は、住環境が不衛生になり、感染症等の温床になるだけでなく、夜、離れたトイレに向かう女性を狙ったレイプなども多発していたことにある。
しかしトイレを補助金をどっかり使って設置しようとしたところで、しっかりとした管理システムが整っていなかったり、賄賂や中抜きも横行していて整備もままならない。それにトイレを入れたところ -
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『日本では、ほとんど誰もが清潔なトイレにアクセスすることができ、トイレのある暮らしが日常に組み込まれている。しかし、インドではそうではない。「トイレ」というキーワードで、貧富の差やカースト、都市と農村の格差といった、インドのさまざまな姿が見えてくるのではないか。そう思って、取材のためにインド各地を歩いた。そこから見えてきたのは、経済成長という言葉の陰でさまざまな問題を抱え、多くの人たちが苦闘しているインドの姿だった。』
日本から遥か遠くにある国。インド。
パソコン上に飾られた、成長率という数字だけ見れば、「めざましい経済成長をしている国」と思うのは当たり前かもしれない。でも、どことなく違和感 -
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子供の頃憧れていた「目黒寄生虫館」
初めて行った時の感動は今も忘れられない!!
その目黒寄生虫館の館長さんが監修をしている
ビジュアルブック
写真じゃなくてリアルなイラストというのもなんかイイ。
で、文章がすごくおもしろくてめちゃくちゃステキ
ちょっとしたダジャレやらくすっと笑えるおちゃめさ、でもって、ふざけすぎなくて学術的。
この著者の文章好き~
家で犬を飼っていたり、金魚を飼っていたりした、子供の頃の趣味が魚釣りだったこともあって寄生虫には昔から親しみがあるんだけど、あらためて読むと寄生虫って…やっぱりすごいわ。
なんだろね、もう「生殖するがために生きている」というある意味潔さがすご