佐藤大介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「ルポ○○」というタイトルの作品が好きでよく読むのだけど、こちらもまたインパクト絶大な一冊。
死刑囚、元死刑囚の遺族、刑務官、衛生夫、教誨師、元法相、異なる立場の人々からの克明な証言をもとに、謎に包まれている死刑制度の現実と実態を知ることができ、とても意義深い内容だった。
改元前にオウム真理教元幹部らが立て続けに死刑執行されたことはまだ記憶に新しいけれど、それも「ニュースで知った」というだけで、どのように異例だったのか等の詳細は何にも考えたことがなかったのだと気づいた。
いわゆる「袴田事件」については、死刑が確定していたのに49年目にしてそれが覆り、釈放が認められたというのだから驚愕するほかな -
Posted by ブクログ
病院で働く医者というよりは、公衆衛生や民間企業に腰を据える医療関係者の人たちの対談コラム
私自身病院に来る手前の人たちに医療従事者側が介入するシステムを構築することに興味があるので色々と参考になる内容が多かった。横文字が多くてちょっと読みづらかったけど。
医者としての将来に不安はつきないが、同時に変化していく未来が楽しみでもある。何でもできるし、何者にでもなれる。多分。
✏少子高齢化や人口減少で社会保障費の負担がどんどん大きくなる中で、サステナビリティだけを考えれば、医療費を抑えるために治療を「諦める医療」にシフトすればいいという話になりがちである。しかし、質を担保したまま持続可能な医療にす -
Posted by ブクログ
死刑をめぐるさまざまな立場の意見をまとめた新書。
筆者の書いているとおり、普段、私たちは死刑がどのように行われているのか、死刑囚がどんな生活をしているのか、彼らの刑の執行までどのような人が関わっているのか、知ることはない。法務省の役人から被害者遺族、教誨師、世話係まで、いろいろな立場の言葉を読むことができ、勉強になった。
筆者の立場は明確に死刑廃止で、文章の切り取り方からもそれが見える。関係者の言葉を読む限り、死刑についてもっと議論し、廃止も含めて検討すべきなんだろう、ということに対して疑義はない。
だが、一般市民としては、被害者のことをどうしても考えてしまう。被害者は命を奪われて口がきけ -
Posted by ブクログ
死刑囚の執行までの日々の生活、執行を行う法務省や拘置所の人々、教誨師、犯罪被害者の心情など、タイトルどおり、死刑に関するリアルな内容を提供してくれる。本書内で明らかにしているように、著者は死刑反対という立場であり、そのせいか、世論調査の数字の見方などでは若干バイアスがかかった表現のように感じられる部分もあるが、全体的には冷静な筆致で、分かる範囲で事実を書いている。死刑囚に対して行われたアンケートや、犯した罪を深く反省する死刑囚やその被害者家族の話を聞くと、凶悪犯罪に対して応報刑を科すべきとか、犯罪被害者の気持ちは他人には分からないと主張する死刑容認論者の意見のみが正しいとは言えないように思えて
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Posted by ブクログ
インドのトイレ事情についてのルポルタージュ。
中国に次いで世界最大の人口のインドだが、トイレがない人たちが約半数ぐらいいる。日本の常識から考えると信じられない話だが、トイレは不便と考えるのがインド人の常識になっているようだ。モディ首相は、トイレ設置による衛生状態の向上を施策に挙げて推進しているが、実態はトイレがあっても使わない。後の処理が面倒だから、費用がかかるから、という人も多いようだ 農村は野糞が当たり前で、そのために犯罪が起きる(特に女性子供)こともあるらしい。またトイレがあるところでも、下水の清掃で命を落とす人たちもいる。カースト制の悪影響の問題を技術で問題解決を目指す人たちの話等々、 -
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スピリッチュアルな世界に関心のあるひとにとっての
世界の路地裏を歩くバックパッカーたちにとっての
インドではない
それこそ 13億人の人間が暮らす
インドを「トイレ」から見たレポート
都市であれ村であれ
どんな場所でも
バラモンであれダリットであれ
カーストなど関係なく
「出すこと」は
平等で必要なこと
きっちりとした取材に
裏打ちされた
「トイレから見た国家」が
小気味よくあぶり出されていく
著者の着眼点のすばらしさに脱帽
取材をされた人たちへの
リスペクトも感じられる
だからこそ
本音が聞きだせることができ
だからこそ
インドの今を語ることに
つながっている
現在のインドを語る