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世論調査では日本国民の8割が死刑制度に賛成だ。
だが死刑の詳細は法務省によって徹底的に伏せられ、国民は実態を知らずに是非を判断させられている。
暴れて嫌がる囚人をどうやって刑場に連れて行くのか?
執行後の体が左右に揺れないよう抱きかかえる刑務官はどんな思いか?
薬物による執行ではなく絞首刑にこだわる理由はなにか?
死刑囚、元死刑囚の遺族、刑務官、検察官、教誨師、元法相、法務官僚など異なる立場の人へのインタビューを通して、
密行主義が貫かれる死刑制度の全貌と問題点に迫る。
●「勘弁してください」刑務官が涙する刑場の業務
●絞首刑を再現した実験では頭部が切断
●最期に会う牧師の苦悩「殺人に加担して赦されるのか」
●確定囚78人が自筆で答えた獄中アンケート
●囚人が目撃した、刑場へと連行されるオウム元幹部
●死刑制度が国家にもたらすプラスとマイナス
●執行方法を定めた法律は明治6年のもの
●極刑を望まない被害者遺族が浴びたバッシング
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Posted by ブクログ
世界的に死刑廃止に動いているなか、日本は数少ない死刑存置国である。
2021年、死刑廃止国は108に上る。10年以上執行がないなど、事実上の死刑廃止国を加えると144カ国に上ると言われている。
一方、死刑存続国は日本や中国、北朝鮮、イランなど55カ国。
先進38カ国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の中では日本と米国だけのようだ。
つい最近も19歳の特定少年の死刑が確定された。
だが、我々日本人は死刑存置国で暮らしていながら、死刑制度についてよく知らないでいる。
自分は死刑廃止派ではあるのだが、なぜ? と問われると結構ぼんやりしていて、はっきりとこういう理由で反対だ、と言えないでいる。
別に死刑談義で論破するために本書を手に取ったわけではないのだが、自分の中で死刑という刑罰にぼんやりとした気持ちを抱いていたこともあって、手に取った。
そして、やはり自分は死刑廃止派であると改めて思った。
と言うか、現行の日本で死刑という余りにも重く、そして後戻り出来ない刑罰を適切に運用出来ると思わなくなった。
日本の司法は自白を重要視しており、そのために被疑者に必要以上に圧力をかけることは知られている。人質司法と言われるが、自白したら終わりなのだ。
そんな国で死刑が適切に運用できるのだろうか?
自分は出来ないと思う。
別に自分は他者にも死刑廃止派に回ってほしいと考えているわけではない。
だが、一度死刑というものをよく考えてみてほしい。考えてそれでも死刑存置派であるなら、それはあなたの自由だ。
本書は、死刑を考える手助けになるだろう。多くの人に手に取って、今一度考えてもらいたい。
Posted by ブクログ
以前他の本を読んである程度知っていることも多いと思っていたが、この本では加害者側の葛藤だけでなく、被害者遺族や加害者家族、刑務官など、死刑にかかわる人たちの葛藤が多面的に描かれていて、視野が広がった。
加害者自身が取り返しのつかないことをしてしまったと自覚して、反省する心情は耐えきれない苦悩なのだと感じた。
そういう人たちに対して本当に死刑執行していいのかわからないという過去の法務大臣の言葉が印象的で、人が人を裁く難しさを痛感した。
何が正しくて、どうすることが正義なのか、全くわからない。
それでも、被害者の苦痛や恐怖、残された遺族の悲しみ苦悩に共感できた時、それがまさに自分の行為によって起こったことだとした時の苦悩は想像するだけて計り知れない。
私自身、殺人経験はないものの、成長の過程で傷つけてきた人たちの顔を、ふと思い出すことがある。
当時は傷をつけるつもりもなく、自分の感情のまま、悪いとも思わずに振る舞っていた言動が、あるときすっと頭の中に浮かび上がってくる。
そして、私が傷つけた相手の辛さを想像して心がとてつもなく苦しくなる。
今更許されるわけじゃないけれど、心から悔やんで二度と同じことはしまいと誓う以外にできることはなく、そういう苦悩を抱えながら人間は成長し、人に対して寛容にそして優しくなっていくような気がした。
Posted by ブクログ
「ルポ○○」というタイトルの作品が好きでよく読むのだけど、こちらもまたインパクト絶大な一冊。
死刑囚、元死刑囚の遺族、刑務官、衛生夫、教誨師、元法相、異なる立場の人々からの克明な証言をもとに、謎に包まれている死刑制度の現実と実態を知ることができ、とても意義深い内容だった。
改元前にオウム真理教元幹部らが立て続けに死刑執行されたことはまだ記憶に新しいけれど、それも「ニュースで知った」というだけで、どのように異例だったのか等の詳細は何にも考えたことがなかったのだと気づいた。
いわゆる「袴田事件」については、死刑が確定していたのに49年目にしてそれが覆り、釈放が認められたというのだから驚愕するほかない。その間ずっと死刑の執行と隣り合わせの毎日とは、気が遠くなるほど恐ろしい。
冤罪はあってはならないけれど、それでも漠然と死刑制度はあった方がいいのではないかと思っていた。世論調査でも日本国民の8割が賛成しているそうだ。
けれど、一概にそうとも言えないのかも、と考えさせられたのは、第二章の「死刑と償い」を読んでから。
被害者遺族の声は、私が想像していたのとは違った。
「更生してほしいとか、そうなったら私も救われるとか、そういうことを考えて手紙を書いてはいません。ただ、彼が謝っているのもわかる。それは事実でしょう。そして、娘が帰ってこないのも事実です。彼は、一度は死んだ人間。そこから、裁判で判決が決まって、刑務所の中で一生懸命がんばっている。そのことは受け止めています」
「いろんな気持ちが起きるんです。仏と鬼の両方の気持ちを持っている。それが人間でしょう」
死刑を言い渡されるほど残虐に誰かの命を奪った者の償いって、本当にあるんだろうか。
そんな相手に対して、死をもって償え以外の感情って芽生えるんだろうか。
そこにどんな動機や理由があったにせよ、人は変わることができるのか、そして変わったとてそれを赦すことができるのか、次々と疑問が湧いてしかたがなかった。
もちろん、更生しようとする死刑囚と、それを受け止めてやりとりができる被害者遺族の関係性はごくごく稀なのかもしれず、ずっと死刑を望み続ける場合もあるだろうけれど、それでも新しい視点から死刑制度を考えるきっかけが生まれた気がした。
死刑囚と日々接し、執行そのものも担わなけらばならぬ刑務官が、模範囚でもあった当該人物の母親に「最期は立派でしたよ」と声を掛けた、というのも、本書を読まなければ絶対に知り得なかったことの一つだと思う。
死刑制度を廃止する国が年々増加しているという国際社会において、日本は今後どうなっていくのだろう。死刑はやむを得ないのだろうか。終身刑は死刑より残酷なのだろうか。
自分はどちらなのか、こうやって本を読んで罪と罰の問題を考えるだけでまるで分からなくなってくる。そもそも死刑制度とは一生関わらず、ずっと分からないままでいたいと願ってしまう。
ただ、死刑執行の密行主義を貫く現状ではそれらの議論は停滞したままだろうし、他人事とし続けることはできない。何でもそうだけど、まず国民がきちんと知ること、知らせることから進めていってほしい。誰がどう考えたところで、正解なんて無いのだから。
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