坂井榮八郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「ヨーロッパのなかのドイツ」を描くというスタンスで著されたドイツの通史。
領邦国家、連邦国家としてのドイツ、という性格が本書全体を通しての縦糸になっているように思う。
我々はつい簡単に一つの国家としての「ドイツ」という言葉を発するが、そうでない時代のほうが遥かに長く、そのような伝統に根差した国だというのは新鮮な発見だった。
そういった性格を持つドイツの歴史を見つめることで、欧州連合の行く末を考える視座とすることを狙いとしているようだ。
本書の分量からして仕方がないが、ある程度駆け足で話題の取捨選択もあるし、上記のように「ヨーロッパの中のドイツ」をテーマにしているため、まずこれで学ぶよりも、ヨ -
Posted by ブクログ
やはりドイツ史は複雑だと思いしらされました。「神聖ローマ帝国」という概念を日本人はどう理解すればいいのか、未だに迷ってしまいます。とくに帝国が解体し再編されていく近代の動きは、本書は著者が近代史の専門ということもあり期待して読んだのですが、あまりよく分かりませんでした(というよりも、高校世界史でふれられている内容にはあまりふれていない)。新書という形ですから、あまり一部の内容を深く掘り下げずに、もっと概略的に、例えばビスマルクのフランス孤立政策やヴィルヘルム2世の新航路政策など高校生も知っているような内容に深く切り込んでほしかったと思います。