良くも悪くも、真面目な本だった。
声優とは個人事業主であり、不安定な職業である、ということが幾度となく語られる。
飲食店では店長になれば月給30万以上になるがどうかと言われて逃げるように飲食店を辞めたり、デザイン事務所では(役者・声優業で仕事を抜けることが多いので)デザイナーか声優か選べと言われて悩んだ末やはりデザイン事務所を辞めたり。
役者・声優とは不安定な職業であると分かっていながら、それでもこの仕事を選択してきたところが著者の意志の強いところ。
晴れて事務所に所属しても、1人で10名以上を管理するマネージャーへ、いかに自分を売り込むか?という話もリアルだ。
色んな声優名もチラチラ登場するのだが、関智一さんのことも素晴らしい演技だと誉めていて、対してこの本と同時期に発売された関さんの著書もしばらく前に読んだのだが、嫌いな声優ランキング一位に岩田さんを載せていたので(悪意ではなく意識してるライバル的な意味で)、なんだこの差はと突っ込みをいれたくなった笑p146
デザイナーか声優かで葛藤していた頃、「5年後の自分をイメージしてごらん。それもなるべく具体的に、それこそ1ヶ月分の予定をスケジュール帳にびっしり書けるくらいにね。書き終えて具体的にイメージできたら、よし!と手帳を閉じてごらん。それはきっと叶うから」という千葉さんの励ましアドバイスが印象的だった。そこにたどり着くには、その手前の3年後には、1年後には、今は、一体どう行動すれば良いのか、と背中を押される話であった。p170
だからこそ重要なのは、学校に対して、環境に対して、過剰な期待をしすぎないこと。つまり、学校と自分が対等な立場にあるのを自覚することです。
そして最も大切なことは、むしろ社会かは「食い物」にされかねないことを理解しながら自分自身と対峙し、声優という職業に対して果たして自分が向いているか、この先やっていけるか、天分があるか、という事実を冷静に見極めることなのではないでしょうか。p180
最初に借りた家は築60年のあちこちに隙間がある平屋3万5000円、お金が入るようになって8万5000円の新築アパート、その次は都心の15万のマンション、そして家を建てるp172