絶望の中に希望を見い出す、そんなお伽話のようなテーマに、火星にある太陽系最大の火山オリンポス山を絡めてきた、電撃大賞選考委員奨励賞受賞作。
少しSF要素も盛り込み、各々過酷な過去を持つ男女(?)の火星冒険譚&過去を超克する物語。死に場所を求める者と、生き別れた両親を捜す者。そんな2人の8000kmを超える旅は、突飛ではないが丁寧な構成で、火星という場所が持つ舞台効果を活かし、きちんと泣き所も持ってくる。やはり、気持ちを直球で投げられると、心に刺さる。
助詞の使い方や言い回しで気になるところはあれど、良作。