常に視点が「わたし」ことロングビーチ市警殺人課刑事のダニエル・ベケット(ダニー)で固定されているので読み易い。相棒のジェンと共に猟奇殺人事件の犯人を追う。
まず初めに、どうせ何度も行き来する事になるのに律儀に人物紹介を読み込む所から。そこで、一覧にグレンとダリルがいる事に海外ドラマ、主にデッドがウォーキングするアレが好きな同士達は過剰反応してくれるはずだ。
表紙にある禍々しいククリナイフにて腹部を滅多刺し、更に子宮を串刺しにされた被害者 エリザベス・アン・ウィリアムズ。犯人は戦利品として彼女の左手首を持ち去っていた。結果的に連続殺人とはなるが一貫してこの事件と終始向き合う形なので内容は比較的コンパクト且つ濃密ではある。
一応、転々物ではあるのやもしれないがそこまでの経緯は多少強引さが目立つ。これは確実にこのままでは終わらないと良くも悪くも身構える事が出来た。終盤での犯人との腹の探り合いの中、決定的な一言を浴びせ逃げ道を塞ぐ。このベタしかし確実に痺れる展開は見事だったのだが、その後の急展開サスペンスな白熱戦はベリベリショート。ドドンパ並の急発進と短さだ。
「悪い夢さえ見なければ」タイトルを噛ませたダニーの心理は理解出来るがちょっと弱くも感じた。手網の握り方次第でいくらでも深みの増強が見込めるのに、どうしても彼の軽薄さが悪目立ちしてしまう。しかし、スポットは当たっていないように感じるがダニーとジェンの男女バディ、二人の意思の疎通が凄くかっこ良かった。掛け合いがスマートなんだよなぁ(´﹃`)ジュルリ
ダニーとジェンは勿論、ロングビーチ市警殺人課の仲間達とそれを率いるルイス警部補の静かな血気盛んさが心地よい。矛盾しているが、警察としての冷静さと犯人に対しての憎悪と情熱が見事に調和していた。物語として特筆した部分は残念ながら見当たらなかったが気持ちは晴れ晴れ、気持ちの良い余韻に包まれている。
調べてみると続編があるらしい。
次はミショーン、マギー辺りが出てくるのだろうか(デッドがウォーキング)機会があれば手に取りたいと思います。無難に面白かったです。