澤田直のレビュー一覧

  • 新編 不穏の書、断章
    これは一生ものの一冊になりそうです。読んでいると、生活上の様々な出来事や悩みが至極つまらないことに思える。開き直ることができる。自分が自分でいられる。それでいて、時にしんみりすることもある。まるでお酒のように、飲み方によって色々な酔い方ができる作品です。
  • シュレーディンガーの猫を追って
    例えば、堀江敏幸の小説のように。あるいは蜂飼耳の散文のように。流れる言葉の連なりの中に、作家の思考の断片が幾重にもオブラートに包(くる)まれた状態で見つかるような文章に、惹かれる。フィリップ・フォレストはそんな文章を書く作家のひとり。

    例えば草むらの中に転がる軟式野球のボールの白さにはっとするよう...続きを読む
  • 新編 不穏の書、断章
    「わたしと私は違う」
    ペソア自身とは違う様々な人物・・・アルベルト・カエイロ、リカルド・レイス、アルヴァロ・デ・カンポス、等、様々な異名を作り上げた詩人、ペソアの散文集の様な作品です。
    ペソアの独特な思想、哲学感が反映された散文で、ニヒリズムでも、ペソアらしさが添えてあって、それだけじゃない何かが感...続きを読む
  • 新編 不穏の書、断章
    真に書く人は本を造らない。
    「造る」は「書く」に追いつけないからだ。
    散らかした紙片の中に佇み途方に暮れる人こと詩人なのである。

    みたいなことを考えた。
    つまりはペソア病にかかっていたわけだ。

    60箇所くらい付箋が残されたこの本を、何度も読み返すことになるだろう。

    未来の郷愁。
  • 新編 不穏の書、断章
    何だ! 彼は、どこから来たんだ!

    ペソアを知らなかった。
    このことを口惜しく思ったと同時に会えて心底喜んだのです。形の無いアンティークを見つけたように。

    この読後感はカフカに近似しています。
    それもそのはずで、本書も『城』や『審判』と同様に未完。音量の縮減。フェイドアウト的。いやどこかの結末を目...続きを読む
  • 百歳の哲学者が語る人生のこと
    生きるとは、たくさんの可能性を享受すること。
    合理性の病に陥らないには、複雑性を認めて思いやりをもつ。
    認識対象との結びつきについて問題意識を持つ。
  • シュレーディンガーの猫を追って

    理解が・・・

    物理学は嫌いではありませんが、やはり、一般常識が通用しない、量子の世界はついてゆけない処があります。私には、楽しく読めませんでした。ただ、途中で放り出すことにはならない程度で、興味を引きました。その意味で、☆三つです。
  • ショーペンハウアーとともに
    ウェルベックによるショーペンハウアー解説本
    解説、というより礼賛に近い

    私の好きな小説家や芸術家は元を辿ればショーペンハウアー(部分的にはカント)に行き着く事が多い
    本書も例外でなく、ウェルベックの観点からショーペンハウアーを解釈するのは楽しかった。

    途中でプツリと終わってしまうが、想像の余地を...続きを読む