皆川達夫のレビュー一覧
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いざバロック音楽を聴こうとしたとき、まずその作品群と世界観に圧倒されてしまうことが多いかもしれない。本書はそうした見えない壁を乗り越えるのに役立つだろう。年齢の積み重ねと共に、聴きたい音楽の志向が変わり、西欧音楽の原点を探索し始めた人にも有効だ。音楽の新奇性やオリジナリティを求める前に、実はその本質を把握することが必要だったことに気付いた。序で著者は、「わたくしたちの現在の生活に密着した意識から出発したものであり、わたくしたちが現在の自分たち自身を知り、自分を見出す一つの手掛かりを求める積極的な前向きの行為」として音楽の根源に触れることを説明している。この本を読みながら、人生を通じて気長にバロ
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引用。
第一章 キリスト教と音楽
ハイライト(イエロー) - 位置271
神は人間の前には目で見える姿で 、現われない 。しかし 、それに代わって 、神はみずからの意志を言葉をもって語り 、人はその神の言葉を耳を通して聞くのである 。ここでは 、目で見るのではなく 、耳から聴くという関係が重視される 。
ハイライト(イエロー) - 位置284
「ムジカ ・ムンダ ーナ 」とは 「宇宙の音楽 」を意味する 。天体や地球 、つまりマクロコスモスの作り出す音楽であって 、これは耳に聞くことのできないムジカである 。同様に 、 「ムジカ ・フマ ーナ 」は 「人間の音楽 」 、つまりわたくしたち人間 -
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『バロック音楽』(皆川達夫、2006年、講談社学術文庫)
本書は、いわゆる「バロック音楽」(いびつな真珠、ゆがんだものが語源)の前後の音楽の潮流を述べ、楽器の発達を含めたバロック期の音楽の特徴を記した書である。まずは音楽史の流れを説明しているので、バロック音楽だけではなく、その前後の音楽史の発展の関係が理解できておもしろい。
バロックと言えば、バッハやヘンデルが有名である。ちなみにバロック音楽の終焉は1750年とされており、この年はバッハがこの世を去った年である。最終章でバッハとヘンデルの生い立ちを説明しており、古典派へと続く音楽史の流れを述べる。
(2010年6月15日 大学院生)