素晴らしい曲を次々と発表していく、チームワーク抜群の4人の爽やかな青年たちの集まり、といった話を期待している人は絶対に読んではいけない本。
ここには、金にまみれ、訴訟にあけくれ、お互いに罵倒し、自己を主張し、ときには相手の奥さんまで寝とってしまう男たち、及びその取り巻き、及びその女たち(妻を含
...続きを読むむ)のエピソードしかない。
どこまで真実なのかは判断できないが、少なくとも作り物めいた雰囲気は感じさせない。
誰かひとりに肩入れすることがない分、妙に説得力があるのだ。
ビートルズの4人、誰をとっても友達にはなりたくないなぁ、と思ってしまう。
それ以上に大きな存在感を残しているのがオノ・ヨーコ。
ここに書かれていることが真実であればとんでもない影響力を持っている。
彼女がいなければ、ビートルズの再結成、少なくともジョンとポールは単発的にとはいえ、再び曲を一緒に作っていたことは間違いがない。
勿論、書かれていることが全て真実だとしたら、の話ではあるが。
ビートルズの大ファンとして読んでいて辛く感じる箇所もかなりあるが、「よくまぁ、こんな最低最悪の環境の中で、最高最強の楽曲を生み出してこれたなぁ」という妙にひねくれた感慨を抱くことにもなった。
ちなみに、ジョージが暴漢に襲われた事件はなんとなく知ってはいたが、全身何十か所も刺され、肺にまでその刃が達しており、死の一歩手前だったなんてことは、実はこの本を読むまでは知らなかった。
全てのビートルズ・ファンに推薦出来るわけではないし、出来れば知らなかった方が良かった事柄もかなり書かれているが、ビートルズの全てを知り尽くしたい人にとっては、興味深い内容に溢れているかもしれない。