外山健太郎のレビュー一覧
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ネタバレテクノロジーは貧困層の生活を豊かにする万能策なのだろうか?
これがこの本の大きな問いである。そして著者はこの問いに対して「No」と言い、結局のところ、テクノロジーを利用する人そのものをアップグレードすることが必要であると主張している。
この本の大きな意義は、テクノロジーの役割を再定義したことにある。著者は「増幅の法則」という理論を提唱しており、テクノロジーの本来の役割は「人の能力や意志を増幅することにある」としている。
この本から得られた「増幅の法則」という着想は、家父長社会におけるICTの役割や意味を研究する自身にとって非常に有益なものであった。男性が支配的なバングラデシュ社会において、 -
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ネタバレテクノロジー!への懐疑を募らせる日々。
生身の人間から作られているのがこの世界。
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著者は、テクノロジーという外的な介入パッケージではなく、実際に変化をもたらす主体の「内面的成長」に焦点を当てる必要がある、という。
_本書の中核的テーマは、社会的状況を解決するべき問題としてみるよりも、育成するべき人や制度として見るべきだというものだ。
テクノロジー至上主義への批判や反証をさらに深堀する。
非営利組織アジム・プレムジ財団代表、アヌラーグ・ベハールが、2010年『ウォール・ストリート・ジャーナル』のインド系列紙記事で、15000校以上のコンビェーター室で展開する自らの組織の活動に疑問を -
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元マイクロソフトのエンジニアである著者は、インドでの教育・開発支援にかかわった経験から、ソリューションの援助よりも先に、心(意図)、知性(判断力)、意志(自制心)を備える受け手がまず必要だと説き、テクノロジーを投入さえすれば、自発的に活用されて生活が改善するという考えに批判を加えている。
ここで批判されているプロジェクトは、
ワン・ラップトップ・パー・チャイルド(One Laptop Per Child)
ホール・イン・ザ・ウォール(Hole in the Wall)
グラミン銀行
など。
将来的に収入の増加が見込めるとしても、勉強したりビジネスを立ち上げて成功するという事例を見聞きしたり -
Posted by ブクログ
学生時代に輪読したカステルを思い出した。「情報技術と社会の相互作用」という訳を多用した記憶があるが、その表現だとなんだか抽象的でピンと来ないが、本書を読めば、「あ、そういうことね」と合点がいく。学生時代の自分に読ませてやりたい。本書の主張は、社会問題のみならずビジネスシーンでも思い当たる節がある。情報技術がどれだけ進んでも、それを導入する側に度量がなければ、成功しないとの感覚をもっており、同意見である。
ツイッターの使い方は誰でも覚えられる。だがどのような媒体を使うにしろ、説得力のある議論を構築して展開するには思考力と文章力、そしてコミュニケーション力が必要だ。これらの能力は携帯メールや -
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マイクロソフト・リサーチでキャリアを重ね、今ではミシガン大学の准教授になっている方による、貧困を救うためにはテクノロジー一本槍じゃダメなんだ、という主張。
読み始めた時は、もっとテクノロジーよりの細かい話で、「こういうところを改善すれば…」的な提言でもあるのかしら、と思っていたのですがさにあらず。前半は優れたテクノロジーがあっても上手く行かなかった例、後半は、援助において(あるいは物事全般において)人を動かすためには何が必要なのかを語っています。
個人的には、少し視野が広がった感覚があり、タイトルだけから想像していた内容よりも良い意味で意外な展開でした。
例えば、スラム街の学校にパソコンを導 -
Posted by ブクログ
書きたいこと、いっぱいあるな。
まずはやたらICT導入とか言っちゃって、人の予算削ってまで機械にお金注ぎ込む能無し自治体へ、爆弾のように投げてやりたい。
といっても、そんな能無し野郎どもはこれを読むだけの能力もないかも、だけど。
翻訳文で、かなり厚いよ。
とはいえ、4分の1は参考文献と原注と索引だけどね(笑)
とにかく自治体の物事を見通す力のなさを呪いたくなる1冊でありましょう。
テクノロジーの作用というのは人間の生活を良くする効能があるのではなく、今ある現象を増幅させる(レバレッジを効かせる)作用があるということ。
昔の人は偉かった、こういう事象をちゃんとすでにことわざにしてる。
「馬鹿と