鈴木浩三のレビュー一覧
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TOKYOウォークという都内を20㎞ぐらい歩くイベントがあります。ちょいちょい参加して思うのは東京の地形の面白さ、です。平らなコースでずっと歩きやすいと思っていると、意外に高低差があって坂の上り下りが連続したり。そして川の流れ、商店街の通り、お寺のある場所、広い公園、線路の配置…それぞれが地形と連環してる?と感じて手にした新書です。勘で選んだ本ですが、かなり堪能しました。去年読んだ本で陣内秀信「水都 東京」というリバーサイドから見た東京という面白い新書がありましたが、本書はそれとはちょっと違う水の流れから見た東京です。水が流れる、水を流す、ポンプの無い江戸時代は必然的に自然の高低差を計算することになり、それは江戸の地形を活かすことになり、その活かし方が江戸から東京まで変わらず残っているという指摘です。今、この瞬間の情報としてのGoogleマップではなく、何枚も地図を重ねて見えてくる土地の物語が浮かび上がります。実際、新書には珍しく赤いライン(著者の強調ライン・発見ライン)が入った地図が何枚も挿入され、ビジュアルでも見ごたえありました。それが2020年のオリンピック・パラリンピックの会場問題にまで繋がり東京の発展史として、あるいは首都問題の未来予想として知的刺激を受けました。この視点、どこから?と思って最後まで読み進めると、著者が30年以上東京都水道局に努める現役の中央支社長であることがわかり、そこもびっくりです。ディープな専門家がそこからジェネラルな全体を見上げる(地図だから俯瞰するか…)面白さにやられてしまいました。
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<目次>
第1部 近世
第1章 もともとの江戸・東京
第2章 地形を活かした江戸と江戸城
第3章 上水と地形
第4章 地震・水害・大火と地形
第2部 近現代
第5章 江戸を受け継いだ東京
第6章 鉄道発展の時代
第7章 人口増加とインフラの整備
第8章 多摩の工業と住宅
<内容>
タイトルに偽りがあるわけではないが、著者は東京都水道局の人。第1部第3章のような部分が本筋。確かに地形と上水の筋は一致するようで、その地図もなかなか面白い。ただ近現代はあまり地形の話は出てこない。人文地理学の教科書のようになっているのが残念。戦前の軍部基地の地形との関係や戦後のニュータウンと地形改変の様子などを突っ込んでほしかった。 -
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外国と接する機会の増えた江戸時代、麻疹やインフルエンザやコレラによるパンデミックに対する幕府の対応が解説された一冊です。
“御救(おすくい)”という給付金制度や江戸時代版GoToキャンペーンの遊山奨励など、COVID-19対策と同様のものを江戸幕府が前例として行っていたことに感心しました。
医療水準は現在と違いますが当時の出来得る限りの手当があった背景には、町民や窮民による打ち壊しへの恐怖があると記述されています。
今の日本ではデモはあっても打ち壊しや暴動は発生しないでしょうが、だからといってその場しのぎの手当が正しいわけではありません。
太平の世は幕府が一所懸命に維持してきましたが、政府になった後は太平などあったのでしょうか。
災害の頻度と規模は今とあまり変わらないので、我々はまだまだ先人から教わる必要があると感じました。 -
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ネタバレ<目次>
プロローグ
第1章 押し寄せる感染症~江戸の歴史は「感染症の歴史」
第2章 感染症と幕府のBCP
第3章 パンデミックと救済のシステム~米や銭の給付はスピード勝負
第4章 想定外が続いたパンデミック対策~次々と遭遇したインフルエンザ・麻疹・コレラの流行
第5章 パンデミックvs経済政策~政策ツールの総動員…自助・共助・公助で乗り切る
エピローグ
<内容>
タイムリーなテーマだが、気楽に読める書き方ではない。かなり詳細に江戸の町でのパンデミック対策を論じている。基本は寛政の改革で松平定信が命じた「七分積金」をシステムを利用しているが、優秀な市井に詳しい町奉行(遠山左衛門尉景元=「遠山の金さん」、筒井和泉守政憲・根岸肥前守鎮衛=『耳囊』で有名など)が、リーダーシップをとって、老中たちの机上の政策をつぶしながら、庶民を守っていった様子が読み取れる。データがかなり詳細に載っているので、説得力もある。