マット・バグリオのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
カーター大統領が、病気療養との名目でパーレビ元国王をアメリカに
受け入れたから、さぁ大変。イラン革命後のテヘランではホメイニ師を
指導者と仰ぐ過激派学生が、元国王の引き渡しを要求してアメリカ
大使館を占拠した。
カーター大統領の支持率ガタ落ちの原因にもなった、イラン・アメリカ
大使館占拠事件だが、同じ敷地内のアメリカ領事館からは既に6人
のアメリカ人が脱出していた。
反米感情を高めるイラン人に見つかったら、殺されるかもしれない。
身を隠さなければいけない6人に手を貸したのは、アメリカの隣国・
カナダ大使館だった。
そして、CIAに命令が下る。アメリカ人6人を救出する作戦を立て、
実行せよ。
映画「アルゴ」の原作である。なんといっても私の大好きなスパイの
世界である。映画の方は観ようを思っているうちに、劇場公開が終わっ
ていた。
さぁ、どうやって6人を脱出されるか。イランに職を求めに来た英語
教師?それとも穀物調査に訪れた栄養士?いやいや、ここは最も
大胆な作戦にしよう。そうだ。映画のロケハンに来たハリウッド関係
者に仕立ててしまおうじゃないかっ!
手に汗握るスパイ小説…という訳ではなく、カナダ大使の私邸に
匿われた6人をいかにハリウッドの人間に仕立て上げるかの
下準備が丁寧に記されている。
派手なアクションもないし、スパイ同士の対決もない。6人それぞれ
の偽の履歴を作り上げ、必要書類を偽造し、挙句の果てには
ハリウッドに事務所まで作り、制作予定の映画広告を打つ。
すごいなぁ。パスポートを始めとした文書偽造は映画や小説でも
よく出てくるが、その人物の背景まで作り上げるんだもの。
本書は脱出工作の準備に多くが割かれており、これが堪らなく
面白い。脱出劇そのものは最後の方におまけ程度だ。
CIAの実行力も凄いが、この脱出劇で大きな役割を担ったのは
カナダである。「カナダの策謀」と呼ばれているようだが、カナダ
政府の全面協力がなければ実行出来なかったろうな。
だって、CIAが「すいません、出来ればあなたの国のパスポート
を使わせて頂きたいんですが」とお願いしたら、「ええ、もう準備
してますけど?」なんだもの。
アメリカから田舎者扱いされるカナダだが、もっと感謝した方が
いいよ。そもそもカナダ大使が匿ってくれなかったら、どうなって
いたか分からないんだから。 -
Posted by ブクログ
[史上空前の一本]民衆によるアメリカ大使館の占拠から逃れ、イラン・テヘラン市内を転々としながら潜伏を続けた大使館員らを救い出すため、CIAは前代未聞で奇想天外な作戦を考案する。それは、「アルゴ」という架空の映画の製作をでっち上げ、人質らをそのクルーとしてイランから外国へ連れ出そうとするものだった......。ベン・アフレック主演の映画版の原作にもなった作品です。著者は、実際にこの活動に携わったアントニオ・メンデスとライターのマット・バグリオ。訳者は、特にミステリーをはじめとする小説の翻訳でも名高い真崎義博。原題は、『Argo』。
映画版では、これでもかとばかりにクライマックスとハラハラドキドキの応酬だったのですが、実際の救出活動自体は、綿密な計画と準備、そして大胆な実行力をもってして成功に導かれたことが本書からよくわかります。「そこまでやるか」という言葉がしっくりくるでっち上げぶりに、アメリカとCIAの底力を見る思いでした。
今日のアメリカ・イラン関係を考える上で外すことのできない、アメリカ大使館占拠事件に関する生々しい記録として読むことももちろん可能。アレルギーと言っても過言ではないほどの悪感情を何故に両者が持つようになったかの一端が本書から覗かれます。また、救出に際し、カナダの果たした役割の大きさが重要視されていることから、危機的状況における協力ほど国家間の関係が露呈するものはないなと感じました。
〜この計画にはほかの計画ではあり得ないものがあった。楽しみという側面だ。〜
ちなみに映画版も☆5つ -
Posted by ブクログ
1979年イラン・アメリカ大使館占拠事件からテヘラン脱出までの過程を描いたノンフィクション。イランはかつてアメリカの同盟国で、ソ連の緩衝地帯として重要であった。しかしアメリカ政府は、親米派パーレビのシャー体制を過度に期待して、それ以外の情報活動を軽視したことが、のちにイランとの関係に亀裂が入った。また著者は当時のイランの背景に加えて、アメリカの諜報機関にも言及する。CIA技術部(OTS)の前身R&Dのスタンリー・ラベルにより、民間企業と協力体制となった。それ以外にも、デパートCIAの工作員が好んで使う、相手国の通貨を造ることは戦争行為に値するなど、いくつかの裏事情を本書で暴露する。
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Posted by ブクログ
ベン・アフレックが監督・主演し、昨年末に日本でも公開された映画「アルゴ」の元になったノンフィクション。
パーレビ国王を追放し、ホメイニ師が実験を握ったイラン革命。
当時のアメリカ大統領カーターはパーレビの入国を許すが、それがイラン国民の反発を誘い、アメリカ大使館が占拠され、外交官やその家族が人質となる。米国は人質開放のための交渉を開始するが、一方で占拠される直前に大使館から密かに脱出した6人の外交官がカナダ大使公邸に匿われていることが判明する。
CIAは「アルゴ」という架空のSF映画製作プロジェクトを立ちあげ、そのロケハン部隊を装って彼らを秘密裏に救い出す作戦を実行に移した…。
映画は見ていませんが、ベン・アフレックは結構いいらしいです。
こちらはそのCIAの偽映画作戦を立案して、実行に移した元CIAのアントニオ・メンデスが、作戦の一部始終を語ったものなのですが・・・実際には作戦そのもの以上に、CIAにおいて変装や偽装の技術がいかに発展してきたか(そこに筆者であるアントニオ・メンデスがどれだけ貢献したか)という部分が多くを占めて、作戦そのものの進行は全体の半分くらいしか無かった気がする。
というわけで、面白いですが、あまりハラハラ・ドキドキはしないです。したければ、映画のほうを見るべきかもしれません。
しかし、これを読む限りでは映画「ミッション・インポッシブル」(もしくはTVドラマの「スパイ大作戦」)で使われているような、変装技術は実際に行われている(=その技術開発にはハリウッドのメイク技術が転用されている)という事になるらしい。 -
Posted by ブクログ
1979年に実際にイランの革命で起こったアメリカ大使館占拠事件で密かに脱出した6人の外交官を救出するCIAの作戦。18年間も秘密にされていたこの作戦の立案し指揮をとった元CAI工作員によるノンフィクション。事実は小説より奇なりというけどこの作品はまさにその言葉通り。主題の作戦に至るまで作者が経験した様々な救出作戦も紹介されていてCIAの戦術や偽装工作の方法が興味深い。ただし成功した実際の作戦を描いたノンフィクション小説なのでいわゆるスパイ・インテリジェンス物を期待すると現実の作戦はかなり地味で目立たないものだという当たり前のことに気が付かされる。この話の後に大使館奪還作戦で大失敗してイランからほうほうの体で逃げ帰った「イーグルクロウ作戦」の方が遥かに派手で小説で読むなら面白いかもしれない。