赤星香一郎のレビュー一覧
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小説家を目指して、安定した優良企業を退職した男。1年を過ぎても、成果は見られない。
そんな時、河川敷の散歩の途中で、助けを求める少女に出会う。しかし、少女を助けることはできず、殺されてしまう。
都市伝説的「虫とりのうた」連続殺人の始まりだった。男は、この童謡らしき歌に従って、起こるらしい殺人事件に巻き込まれていく。
妻は著名な占い師の孫で、実家も怪しい、本人も怪しい、二人の幼稚園の息子も怪しい。
道尾さんの「向日葵の咲かない夏」と似たような感覚のホラー。
語り部が作家なので、作中作となるのかと思っていたが、最後までホラー。
殺人というテーマを変えれば、児童用のホラー小説にも良さそうです。
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Posted by ブクログ
「虫とりの歌」という童謡の幻の5番を知ったら殺される、でも「かしでえんまなおえましん」という呪文があれば大丈夫。という都市伝説と、「虫とりの歌」になぞらえて殺されていく人々。
怖い!でも都市伝説も見立て殺人ものも好きだから面白かったです。
そしてカバーの折り返しには「この小説には作中で解明されていない秘密が隠されています。その秘密に気づいたあなたは、なぜ事件が起こったのか、本当の理由を知ることでしょう」と気になる文章が!!結局なんだったのかわかりませんが(ぐぐってもわからず仕舞い…)まぁそのなんだかわからないところがまた不気味でいいなと思いました。ミステリにはきちんとした回答を求めてしまいます -
Posted by ブクログ
『シンクロニシティとは「意味のある偶然の一致」のことで、スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングが1920年ごろから本格的に研究を始めた。
生きていれば、さまざまな出来事に遭遇する。それらのほとんどは、なんらかの原因があっての結果で、因果関係がはっきりしている。
ところがときとして、まったく無関係のものが一致した状況を見せることがある。』
メフィスト賞の中でいうと、乾くるみの『Jの神話』や真梨幸子の『孤虫症』に近いジャンルかな。それなりのホラー。
“作中で解明されてない秘密”があるとか帯にあって、その秘密が何なのか全然分からないもどかしさなんかもいいとこなのかな。かなりもやもやするけど -
Posted by ブクログ
“悲鳴に似た声が背後から聞こえた。
振り返ると、小学校高学年くらいの少女が、私のすぐ近くまで走り寄ってきた。
少女の白いブラウスは泥で汚れていて、頬には引っかいたような擦り傷がある。髪はぼさぼさで何日も洗ってないように見えた。少女は訴えるような目で私を見つめ、後ろを指差した。
「助けてください。あいつが追ってくる」
少女の指した方向を見ると、男がこちらに向かって走ってきている。
「あの人がなにかするのかい?」
少女が怯えた表情で頷き、私の袖口にしがみついた。
「あいつに捕まったら殺されちゃう」
「殺される?」”
怖い。
恐怖とスリルが体を包み込んでくる。
続きが気になってページをめくる手が止