「由香、パンに挟んだだけだよ」
「それが一番大切な仕事よ。何をどういう組み合わせでどのくらい挟むかってところでサンドイッチの出来の良し悪しは決まるんだから」
「でも由香、そんなのあんまり考えなかった」
「いいの。それで。才能ある人間は考えてなくても出来るんだから。考えながらじゃないと出来ない奴ってのは、要するに才能の不足を補うために頭を使わざるを得ないってだけなんだから。」
「そうなの?」
「そうよ。世間で頭いいって言われてるような奴なんて、みんなそんなもんよ。いわゆる知識先行型で口ばっかり達者な、実際には何の役にも立たないボンクラね。何も考えずともちゃんと生きられる奴が一番偉いの」
「ツッコミ入れるときに『なんでやねん』と『アホか』しか言えなくなったらおしまいじゃない」
「うん。あのね、話すとね、聞いた人と話したことを半分こできるんだって。だから、辛さも半分になるって。」
「ああ、そういう事もあるんやろうなあ。けど、それやったら余計話されへんわ。由香ちゃんに辛い事押し付けたり出来へんもん……」
「心の中にしまったまま死んじゃうと、秘密も一緒に消えちゃうから」
「ああ、まあな。でもそれやったら死んでも秘密守れるやん」
「ううん。違うの。大切なものだから、消えちゃうと寂しいの」
「さっきからアンタ溜め息ばっかりついて、アタシが気づくの待ってたでしょ?女々しい真似しやがって。」
「え?いや、別にそういうアピールをしたつもりは……」
「違うの?だったらそういう態度は表に出すな。鬱陶しいから」
「考えなくていいから。とりあえず思いついた事から喋りな。初めは支離滅裂でいいから。喋ってるうちに分かってくるから。こっちもアンタも。」
「まあそれくらい別に。どうせ減るもんじゃないし」
「だってお兄ちゃん、かんネエといる時、由香のこと忘れてる……」
『俺は貞淑な男の鑑なんや。』
『グーでみぞおちに一撃って、コイツ……。』