佐久間文子のレビュー一覧

  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    頭のいい人が好きだ。
    地頭がいい人はもちろん、博覧強記の人にもあこがれる。
    頭のいい人にだけ見ることのできる、世界の違う断面を見せてもらうと幸せだ。

    で、ツボちゃんだ。
    名前のせいか文体のせいか、年配の人を想像していたのに、私よりやや年上だけれど、ほぼ同世代と言っていいくらいの年齢のかた。
    なのに、なぜこんなに日本の近代のあれやこれや、何ならサブカルチャーにいたるまで詳しいのか。

    なのにさ、たったの62歳で急逝しちゃったんだよ。
    2年くらい前から体調が悪かったって…若すぎるよ。

    そんなツボちゃんが北海道立文学館で『更科源蔵と豊かな交流圏』という副題の企画展をたまたま見て、更科源蔵を知らな

    0
    2023年11月25日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    恋愛小説というジャンルにはあまり興味がなく、ほとんどの狂おしいほどの恋情は、性欲を抜けば大したものは残らないと基本的には思っているのだが、たまにぎょっとするほどすごい恋愛ものだと感じる本があり、それはなぜか実体験を描いたものに多い。
    本当に深く一人の人間と長い間付き合うと、負の感情とも付き合うことになる。負の感情が時には圧倒することもあるが、別れないのはその感情以上にその人にしか抱けない、尊敬や愛着があるから。欠点も含めた相手の存在を愛おしく、哀しく思っている。
    これは妻が亡くなった夫のことを描いていて、小説ではないのだが、楽しいこと美しいことばかりではない本当の愛情を感じた。三木卓の『K』の

    0
    2022年01月01日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     「ストリートワイズ」や「シブい本」むろん「本の雑誌」のロングインビュー。そういう時代からのツボちゃんの読者である。「噂の真相」の記事も発売号で読んでいた。
     彼のおかげで、本当に自分の読書の世界が広がった。亡くなってから、極めて寂しい。当てにするとか、頼るとかいうのではなく、そんな本があったのかと元気づけられていたから。

    0
    2021年10月10日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    昔、雑誌のアンケートに「今年のノンフィクション本1番」に「靖国」が如何に面白かったか、を書いたら、雑誌に載ってビックリした。書く人居なかったのかなぁ~と思ったが、その後も「文庫本を狙え!」も好きだったし、惜しい人を亡くしたと思う。

    0
    2021年08月07日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    コロナ禍なんて言葉がまだ存在していなかった2020年1月13日、急性心不全で逝去された文芸評論家 坪内祐三さん。享年61。この訃報には心底驚いた。

    月に20本以上の締切を抱え、その大変さを『皿回しの皿をいくつも同時に回していくみたいな感じでやってる』と語る執筆に追われる毎日。ただ夕方にはきっかり仕事を終えた。仕事柄、神保町で古書を渉猟、夜は作家や編集者たちと新宿や銀座の文壇バーをナイトクルージングする日々。それだけに、まさか…。近年は体調はすぐれなかったことを本書で知る。

    逝去後、坪内さんの追悼本も多く編まれ、その内の一冊『最後の人声天語』を玩読。文藝春秋に掲載された随筆をピックアップし

    0
    2021年06月23日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    「ツボちゃんの話 夫・坪内祐三 佐久間文子 新潮社 2021年」名古屋の七五書店のインスタでこの本を知った。「靖国」や古本集めや、聞いた事の無い作家にまつわる、ウンチクを書評で読むのが好きだった。去年亡くなり残念だった。奥様が個人についてまとめた本書は面白かった。「怒りっぽくて優しく、強情で気弱で、面倒だけど面白い、一緒にいると退屈することがない」そんな人だったようだ。前妻との微妙な関係も赤裸々に書かれていてゴシップとしても読めた。

    0
    2021年05月30日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    本の雑誌が「年間ベスト」を特集する時期、あらためて坪ちゃん不在の大きさを感じる。そんな坪内祐三の妻だった「文ちゃん」の坪ちゃん追悼本。本の雑誌とダ・カーポと両方の日記で文ちゃんの存在は知っていた。坪ちゃんが亡くなったことを自分の責任みたいに感じてしまってることが切ないな。
    ここ1・2年は体調がすぐれずケンカのたびに「文ちゃん、あとすこし我慢して。おれ、もうすぐ死ぬから」と言ってたそうで、自分でも予感があったのかな。
    今年の照ノ富士の活躍や白鵬の引退など、坪ちゃんならどう言うかなぁ、と考えることも多い。身内でもないのに、そんなふうに思わせる人は他にいないよ。

    0
    2021年12月26日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    長い本ではないのに、人となりを表すエピソードが的確に描かれているのでとても読み応えがあった。怒りっぽい反面、実家の家族や周りの人への骨惜しみしない親切ぶりや損得勘定のない付き合い方が鮮やかに浮かび上がってくる。
    淋しさや後悔、前妻への不快感など内にある感情をなるべく抑えた筆致もとても好感がもてた。

    0
    2021年08月05日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    類まれな同時代史の書き手が急逝して一年半――。妻が語る二十五年間の記憶。「ぼくが死んだらさびしいよ?」が口癖だったあの頃……。けんかばかりしていたけれど憎めない。博覧強記の東京人。生涯一「雑誌小僧」。毎日が締め切りでも、いつもふらふら飲み歩く生粋の遊歩者。「怒りっぽくて優しく、強情で気弱で、面倒だけど面白い」夫との多事多難な日々が鮮やかに蘇る。そう、みんなツボちゃんを忘れない。

    前にも書いたが、坪内氏の生活圏内に、かつての職場があった。文中に出てくる穏やかな内科医の先生にもお世話になったことがある。早く診てもらっていたらと、読んでいて切なくなってしまった。

    0
    2021年06月06日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

     再読。男女のことは当事者にしかわからない。それを前提として、この佐久間さんの手記を読んで、とにかくほんとうにお疲れ様でした、という気持ちになりました。「はかない感じがするひとなんです」(p192)って、わかるなあ、そういう人には惹かれてしまうよなあ、とも。でもこの感情のふれ具合にずっと休みなく寄り添い続けるのは、とてつもなくつらかったろうなあ、とも。二人の全く別々の人格を持つ人間が一つ屋根の下に暮らすって、とても、とても大変なことだ。

    0
    2023年07月26日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    中野翠氏の著作で知ったツボちゃん。
    博識で魅力的だった人みたいだけど、ツボちゃん、喧嘩っ早すぎるよ。
    新宿でヤクザにボコボコにされて死にかけたり、(被害届けも出さず)怒りのツボにはいると手が付けられなくなって大変だっだよう。
    いやー著者で奥さんの佐久間文子はえらいなぁ。
    私だったら身が持たないよ。
    でも、もちろんそれだけでなく楽しく愉快な思い出もいっぱいあって可愛げもあるある意味少年みたいな人だったのね。
    神保町によく行ってたみたいだから(東京堂がお気にいリ)
    もしかしたら、すれ違っていたかもしれないな、ツボちゃんと。

    0
    2022年03月14日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    妻である著者の、夫との逸話や夫への想いがテンポよく語られ、愛情あふれる内容。とても読みやすい。
    ‥と思っていたら、著者の方は文芸ジャーナリスト。ツボちゃんも納得する書き手ですね。

    0
    2022年01月21日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    「本の雑誌」で長らくお付き合いしてきた坪内祐三さんが突然この世を去って、いつかこのような本が出るかなと待っていたのでした。
    坪内さんのすぐそばにいた人がこうした文章を書く力を持つ人であったことは貴重なことだったと思います。他にも誰か、違う視点から坪内さんのことを書いてほしいとも思います。

    0
    2021年09月26日
  • ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―

    Posted by ブクログ

    伝記ではなくエッセイ風の思い出を綴ったもの。
    亡くなった夫の共有した時間を改めて生き直しているような本。坪内祐三へのいろんな思いが溢れていて、それが冷静な文章にも滲み出ていた。
    彼が幸せな人だったと思わせる本でした。

    0
    2021年07月27日