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「ぼくが死んだらさびしいよ?」が口癖だったあの頃……。けんかばかりしていたけれど憎めない。博覧強記の東京人。生涯一「雑誌小僧」。毎日が締め切りでも、いつもふらふら飲み歩く生粋の遊歩者(フラヌール)。「怒りっぽくて優しく、強情で気弱で、面倒だけど面白い」夫との多事多難な日々が鮮やかに蘇る。そう、みんなツボちゃんを忘れない。
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Posted by ブクログ
頭のいい人が好きだ。 地頭がいい人はもちろん、博覧強記の人にもあこがれる。 頭のいい人にだけ見ることのできる、世界の違う断面を見せてもらうと幸せだ。 で、ツボちゃんだ。 名前のせいか文体のせいか、年配の人を想像していたのに、私よりやや年上だけれど、ほぼ同世代と言っていいくらいの年齢のかた。 なのに...続きを読む、なぜこんなに日本の近代のあれやこれや、何ならサブカルチャーにいたるまで詳しいのか。 なのにさ、たったの62歳で急逝しちゃったんだよ。 2年くらい前から体調が悪かったって…若すぎるよ。 そんなツボちゃんが北海道立文学館で『更科源蔵と豊かな交流圏』という副題の企画展をたまたま見て、更科源蔵を知らなかったというエピソードに驚く。 私が知っていてツボちゃんが知らないことがあるなんて!(ま、北海道の詩人ですからね) 私との共通点は、方向音痴のところ。 ”迷う時間を織り込みずみなのか、ただのせっかちなのかわからないけど、約束より早めに家を出て、迷った先でいろんなものに出会った。手ぶらで出かけ、何か必ず自分へのおみやげを持ち帰った。おみやげは本のこともあったし、新しい発見のこともあった。” 偏屈で、怒りっぽくて、人見知りで、酒飲みで、多分簡単に仲良くなるのは難しい人。 だけど、著者が描くツボちゃんは、なんてキュートなんだろう。 亡くなった日のことを書いた第一章を読んで胸が痛み、途中クスクス笑ったりハラハラしたりしながら最後まで読んで、夫婦って切ないなと思う。 一緒に亡くなるのはまれなことで、大抵はどちらかが残される。 私たちもそう遠い話じゃないんだと、覚悟だけはしておかないとなあ…。
恋愛小説というジャンルにはあまり興味がなく、ほとんどの狂おしいほどの恋情は、性欲を抜けば大したものは残らないと基本的には思っているのだが、たまにぎょっとするほどすごい恋愛ものだと感じる本があり、それはなぜか実体験を描いたものに多い。 本当に深く一人の人間と長い間付き合うと、負の感情とも付き合うことに...続きを読むなる。負の感情が時には圧倒することもあるが、別れないのはその感情以上にその人にしか抱けない、尊敬や愛着があるから。欠点も含めた相手の存在を愛おしく、哀しく思っている。 これは妻が亡くなった夫のことを描いていて、小説ではないのだが、楽しいこと美しいことばかりではない本当の愛情を感じた。三木卓の『K』のような。 坪内さんの本は何冊か読んだことがあり、雑誌でも坪内さんの書いたものは目にすれば必ず読んだ。神蔵美子さんが末井さんとの三人の関係を撮った『たまもの』も読んだ(見た)。 でもその程度なので熱心な読者とは言えない。 坪内さんが亡くなった時も、突然だな、まだ若いのに残念だと思ったくらい。 これを読んで今さらではあるけれど、惜しい人を亡くしたんだと改めて感じたし、また坪内さんの本を読んでみたいと思った。 著者の愛情深くはあるが冷静で気負いのない文章から、お二人の間柄というか、この二人だからこその繋がりが感じられた。 本当にすごいものを読んだ。 これから結婚しようと思う人は読むといいんじゃないかと思う。こんな夫婦でいられたら幸せだろう。
昔、雑誌のアンケートに「今年のノンフィクション本1番」に「靖国」が如何に面白かったか、を書いたら、雑誌に載ってビックリした。書く人居なかったのかなぁ~と思ったが、その後も「文庫本を狙え!」も好きだったし、惜しい人を亡くしたと思う。
コロナ禍なんて言葉がまだ存在していなかった2020年1月13日、急性心不全で逝去された文芸評論家 坪内祐三さん。享年61。この訃報には心底驚いた。 月に20本以上の締切を抱え、その大変さを『皿回しの皿をいくつも同時に回していくみたいな感じでやってる』と語る執筆に追われる毎日。ただ夕方にはきっかり...続きを読む仕事を終えた。仕事柄、神保町で古書を渉猟、夜は作家や編集者たちと新宿や銀座の文壇バーをナイトクルージングする日々。それだけに、まさか…。近年は体調はすぐれなかったことを本書で知る。 逝去後、坪内さんの追悼本も多く編まれ、その内の一冊『最後の人声天語』を玩読。文藝春秋に掲載された随筆をピックアップしたものでテーマは大相撲・古書・洋楽・名画座・昭和の銀幕スター・街歩き・東京の消えゆく街並み…など裾野は広く一編一編が実に滋味深い世相評論となっている。 その知識の源は、明治から昭和の文芸全般を背景にした知識、雑誌・映画・芸能・演劇…にも通暁。また東京の街の移ろいや近年では大相撲にも筆が及んだ。なんと言ってもその該博な知識を正確に記憶する能力が際立っていた。 本書帯にある〈博覧強記の東京っ子。類まれな同時代史の書き手〉っていう惹句は、まさに言い得て妙。街っ子の風情を漂わし、とりわけ『東京』の今と昔を熟知し、それを活写できる得難い書き手であった。 本書は妻であり文芸ジャーナリストね佐久間文子さんが〈出会いから同居、結婚、亡くなるまでの20年余りを〉穏やかな筆致で丹念に綴った追悼の書。 第1章『亡くなった日のこと』に記された〈私はこの人を死なせてしまった〉〈どこで異変に見逃したのだろう〉の稿には自責の念と悔恨の痛切な思いが滲む。 あとがきには、夫・坪内祐三の人となりを『怒りっぽくて優しく、強情で気弱で、面倒だけど、面白い、一緒にいると退屈することがなかった』と。 また後年は酒が入る度に怒り出し、周囲と衝突をしたと十章〈友達〉ではこう綴る。気難しくてあちこちでひとと衝突するので、『あなたは八割ぐらいのひとが好きじゃないんじゃない?』と聞いたことがある。『ううん。9割は嫌い』とすかさず訂正された。歳を重ねるにつれ、どんどん新しいひととの交わりを嫌がるようになり、だれかを紹介される機会もできる限り避けていた。 人間関係のストライクゾーンがとことん狭かったが、思いがけない出会いにも恵まれた。故 中村勘三郎さんと親しくなったのは、お互いの怒りっぽさ、喧嘩っばやさがきっかけだった。 愛されるだけでなく憎まれることもあり、途中で去ってしまったひともいるけど、そうした関係も含めて、彼とつきあう大変さを少しずつ分担してくれるひとが大勢いてくれたおかげで、かろうじて私は最後までもちこたえられた。通夜と葬儀の日に、彼の死を悼んでくださる行列を見ながら、そう思った。 短気な性格は『昼夜日記』<本の雑誌社 刊>で自ら記載している。接客にカチンときたり、居合わせた人の不見識な振舞いに憤り、店を出たこともしばしば。この『夜の坪内祐三』の怒りの沸点が何に起因しているかまでは記されてはいないが、随筆に散見する、時に寸鉄人を刺す直言に痛快さを覚える一方で、言わずにはおられない衝動が噴出する方だったんだろう。まぁ〈文は人なり〉の言葉通り、このドキドキヒヤヒヤ感が坪内随筆の魅力でもあった。それだけにまだまだ坪内節を聞きたかった。 著者が語る<植草甚一や田中小実昌など変なじいさん作家の系譜を継ぐのは彼だった。横町のじいさん的な存在にツボちゃん自身、なりたかったと思うので…』の言葉が虚しく響く。
「ツボちゃんの話 夫・坪内祐三 佐久間文子 新潮社 2021年」名古屋の七五書店のインスタでこの本を知った。「靖国」や古本集めや、聞いた事の無い作家にまつわる、ウンチクを書評で読むのが好きだった。去年亡くなり残念だった。奥様が個人についてまとめた本書は面白かった。「怒りっぽくて優しく、強情で気弱で、...続きを読む面倒だけど面白い、一緒にいると退屈することがない」そんな人だったようだ。前妻との微妙な関係も赤裸々に書かれていてゴシップとしても読めた。
本の雑誌が「年間ベスト」を特集する時期、あらためて坪ちゃん不在の大きさを感じる。そんな坪内祐三の妻だった「文ちゃん」の坪ちゃん追悼本。本の雑誌とダ・カーポと両方の日記で文ちゃんの存在は知っていた。坪ちゃんが亡くなったことを自分の責任みたいに感じてしまってることが切ないな。 ここ1・2年は体調がすぐれ...続きを読むずケンカのたびに「文ちゃん、あとすこし我慢して。おれ、もうすぐ死ぬから」と言ってたそうで、自分でも予感があったのかな。 今年の照ノ富士の活躍や白鵬の引退など、坪ちゃんならどう言うかなぁ、と考えることも多い。身内でもないのに、そんなふうに思わせる人は他にいないよ。
長い本ではないのに、人となりを表すエピソードが的確に描かれているのでとても読み応えがあった。怒りっぽい反面、実家の家族や周りの人への骨惜しみしない親切ぶりや損得勘定のない付き合い方が鮮やかに浮かび上がってくる。 淋しさや後悔、前妻への不快感など内にある感情をなるべく抑えた筆致もとても好感がもてた。
類まれな同時代史の書き手が急逝して一年半――。妻が語る二十五年間の記憶。「ぼくが死んだらさびしいよ?」が口癖だったあの頃……。けんかばかりしていたけれど憎めない。博覧強記の東京人。生涯一「雑誌小僧」。毎日が締め切りでも、いつもふらふら飲み歩く生粋の遊歩者。「怒りっぽくて優しく、強情で気弱で、面倒だけ...続きを読むど面白い」夫との多事多難な日々が鮮やかに蘇る。そう、みんなツボちゃんを忘れない。 前にも書いたが、坪内氏の生活圏内に、かつての職場があった。文中に出てくる穏やかな内科医の先生にもお世話になったことがある。早く診てもらっていたらと、読んでいて切なくなってしまった。
再読。男女のことは当事者にしかわからない。それを前提として、この佐久間さんの手記を読んで、とにかくほんとうにお疲れ様でした、という気持ちになりました。「はかない感じがするひとなんです」(p192)って、わかるなあ、そういう人には惹かれてしまうよなあ、とも。でもこの感情のふれ具合にずっと休みなく寄り...続きを読む添い続けるのは、とてつもなくつらかったろうなあ、とも。二人の全く別々の人格を持つ人間が一つ屋根の下に暮らすって、とても、とても大変なことだ。
妻である著者の、夫との逸話や夫への想いがテンポよく語られ、愛情あふれる内容。とても読みやすい。 ‥と思っていたら、著者の方は文芸ジャーナリスト。ツボちゃんも納得する書き手ですね。
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ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―
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佐久間文子
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