ゲイのカップルが養子を迎える話となるとどうしても性的指向の部分に目がいきそうだが、特別養子縁組の養親としての悩みをリアルに描いたところに1番の価値がある。たとえば障害があるとか、どんな子どもでも迎えるのか、親兄弟へどうやって養親になることを伝えるのか、実親への手紙はどんな感じか…もちろん、アメリカで主流のオープン・アダプションを取っているため、本書でかなりの割合を占める実親との濃い関わりは日本ではありえない。それでも、我が子を養子に出さざるをえない実親との交流は、家族や血の繋がりについて考えさせる。