市川寛のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大推薦です!検察の問題点を指摘した本は多々ありますが、類書に無い特徴をいくつか挙げます。①検察官が書いているということ。例えば村木厚子さんや佐藤優さんの著作は被告人の立場から書かれています(勿論それはそれで価値があるのですが)。この本は検察官がどのような論理と感情で捜査を行ったのかが手に取るように分かるように書かれており、冤罪の起こった理由がよく分かります。②冤罪事件以外の事件の捜査についても詳しく書かれていること。これは前半ですね。冤罪事件が起こるとニュースになりますし、起きた理由もよく論じられるのですが、特殊な事例ばかり注目されている感が否めません。この本は市川さんが担当した他の事件につい
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Posted by ブクログ
【65冊目】かなり素直なお気持ちを綴っておられるのではないか、という印象。
自分の理想が組織の論理に飲み込まれていく経験は、社会人ならば多かれ少なかれあると思うので、共感をもって読めるのではないだろうか。
というか、これはそういう風に読んでほしい。「検察」という自分とは関係ない世界の話ではなく、自分が所属する組織の話として。
あと、著者のように「不起訴」をやることがやりがいだったという検事がいたことに、少し安心。
それから、起訴の判断って、きっとユニークなものなんだろうなぁと読んでいて思った。それは可否の判断と当為の判断がつながる世界。 -
Posted by ブクログ
すべて国民は、冤罪事件の被害者となる可能性を有する。元暴言検事と呼ばれた筆者(現弁護士)が、正義を信じてなりたいと願った検事という仕事就き、そして、検察という組織の中でどのようにその正義が歪められ、事件を創作し、被疑者の自白調書という名の作文に署名させるようになったか、その経緯を告白している。
本書で書かれていることが、真実かどうかの判断は、それぞれの読者に任せるが、昨今報道されている冤罪事件をみると、真実が書かれているのだと私は思った。
一度冤罪事件に巻き込まれてしまったら、個人にとってはその影響はものすごく大きいと思う。それは、筆者もいまになって十分認識しており、そして冤罪事件と闘う弁護士 -
Posted by ブクログ
取り調べで被疑者に「ぶっ殺すぞ」と暴言を吐き,それを正直に法廷で告白したため組織に切られた不器用な元検事の弁明の書。刑訴法の理念を追求するという理想に燃えて任官した著者が,ダメになっていく様が痛々しい。
組織のメンツにこだわって,捜査を進める以上「割れ!」(自白を引き出せ),「立てろ!」(起訴しろ)とまくしたてる雰囲気が検察には蔓延しているという。それに内部から抗うのは難しいだろう。特に,後輩検事にまで「検事やめたらどうですか」と言われてしまう著者のような弱い人間には厳しい。
辞職のきっかけとなった捜査は,佐賀地検時代の農協背任事件。主任である著者は蚊帳の外で,権力欲の強い上司が実質的に