森田たまのレビュー一覧

  • 随筆 ふるさとの味

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    著者は明治生まれの作家であり、参議院議員でもありました。

    日本、西洋の食に触れられた随筆集です。何度も読み返したくなるような、日本語の美しさが散りばめられている文章にうっとり。「他人のほころびを縫う気持ちを…..あらゆる親切は、そこからあふれてくるものでなくてはならない」という表現が印象深く、人間性が出ているなと思いました。

    秋刀魚の配給があったこと、西洋菓子がしゃぼんの匂いがしたこと、終戦後、さつまいもを食べる時、必ず塩を添えて食べなければ栄養失調になると言われていたことなど「へぇー知らなかった!」ということが記されていて勉強なりました。

    小説と随筆の区別の仕方の例えで、小説は会席料理

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    2025年05月07日
  • 石狩少女

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    情景の表現が美しかった。
    80年以上も前に刊行されたにも関わらず、主人公の感じる想いにとても共感できるところが多々あった。

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    2024年09月15日
  • 石狩少女

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    作家の佐原ひかりさんがおすすめしていたので読みました。

    北海道が舞台ということもあり、自然の描写が目に浮かぶようでした。そして氷室冴子さんのことや岩井俊二さんの映画なども思い浮かべたり。

    そして全ての登場人物の揺れ動く心が良くも悪くも魅力的でした。

    言葉とはまったくふしぎないきものである。

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    2024年06月10日
  • 石狩少女

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    「本読む少女は生きづらい - 明治末の女学生・野村悠紀子の青春と苦悩。少女小説の傑作、待望の復刊!」との帯に惹かれて読んでみれば、何という名作!この手の本を眠らせておいて、本が売れないとか言っている出版社のなんと多いことか…

    冒頭「風が、土が、日光が、果実をそだてるとおなじように、その土地の少女もまた、うるわしい果実の一つとして成長する。」と詩的な文章で始まる本作は、明治末に北海道札幌で生まれた、一少女の成長物語。著者自身が幼少期を過ごした経験を踏まえた、半自伝的小説です。

    主人公の悠紀子は、文学が好きで、空を眺めていたり、林檎畑に出かけたるのが好きな女学生。しかし、当時は良妻賢母を良しと

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    2024年02月13日
  • 石狩少女

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    入手しづらい状態が続いていたが、界隈では人気の作品とのこと。1940年に発刊された自伝的長編小説の復刊と知り、気になって読んだ。

    本読む少女は不良だと思われていた時代。
    良妻賢母教育に抗う文学少女、悠紀子のお話。
    北海道で生まれ育ち、女学校に通う。色々なもめ事があったり、あらぬ疑いをかけられたり、誤解を招く事が多くて、あまり楽しそうではない青春を送っている。
    でも土井先生だけは唯一の救いだった。悠紀子のことを、ここに留まっているべき人物ではないと励ましてくれる。そんな土井先生もやがて学校を出て行き…。
    あと、お姉さんもいるが病気になって、体の弱い悠紀子は追い出されるように秋田の親戚の元へ送ら

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    2025年06月02日
  • 石狩少女

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    ネタバレ

    明治末の北海道札幌が舞台。育った時代が違うとはいえ、故郷が舞台の小説はそれだけで嬉しいし、聞き慣れた地名が出てくると、札幌に住んでいた頃が懐かしく思えた。文学を愛する女学生・悠紀子にとっては生きづらい世の中。自分らしく生きるのは大変だったと思う。明治時代の価値観に驚くとともに、当時のことを垣間見ることができ勉強になった。

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    2025年03月07日
  • 石狩少女

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    少女小説が好きなのでまだ未読のこちらを読んでみました。刊行1940年当時の時代の雰囲気を難しくなく女性らしい感性で表現されていて、思ったより読みやすかったです。なかなか当時の作品は復刻がされていないものが多いと思いますが、他にもこの時代の作品を読んでみたいと思いました。

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    2024年10月05日
  • 石狩少女

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    著者の半生を反映した1940年刊行の小説。
    北海道を舞台にした明治の文学少女というのが、とても伝わってくる。
    風景、季節の表現が目に映るようであり、良妻賢母教育に抗う硬派な明治の文学少女らしい言葉使い。
    文学を愛した少女の信念すら感じるほど。
    偏見や噂などを気にして、悩みながらも成長していく少女の姿をいつまでも追いかけたい気持ちになった。



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    2024年07月22日
  • 石狩少女

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    森田たまさんの復刊、手にとれてよかったです。
    明治という時代に良妻賢母になろうとは思わず将来学問で身を立てたいと思っていた悠紀子はこの時代では珍しかっただろうと思う。でも、いつの時代も周りがそうだからと合わせることなく、女性であるとか関係なく自分の道を自分で切り開く人が必ず1人はいるんだなと思いました。
    男性でも、女なんだから学問などしなくてもよしと考える人ばかりではなく土屋先生のように「あなたは必ず文章で身をたてる事のできる人です」と言ってくれる人もいて、この時代にそう言ってくれる人と出会えるのは稀だったんじゃないだろうか。
    フェミニズム的なものを感じました。

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    2024年04月21日
  • 石狩少女

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    「本読む少女は生きづらい」明治末の北海道で文学や自然を愛した著者の自伝的小説。文学かぶれして煩悶が何とか言うだけで不良少女とされ周囲の無理解に苦しむが、理解し背中を押してくれる存在にはどんなに心強かったことか。詩的な自然描写、揺れ動く感情の表現に酔いしれた。

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    2024年04月14日
  • 石狩少女

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    自伝的な中編。一八九四年(明治二七年)に札幌で生まれた女の子は文学少女となっていくが、その頃は文学や恋愛は不道徳なものであり、お裁縫に長けた姉と母に虐げられ、周囲の男たちからは揶揄われ、当時としては当然のことながら勝手に顔も知らぬ男を婿養子に迎えることを決められたり、と、散々な青春時代を歩んでいく。しかしそんな時代にもちゃんと理解者は現れる。それが主人公(というか森田たま)を勇気づけていく。正直いってあちこちなんだかなあと思う箇所はあるけれど、それは、今の時代に読むから思うこと。最後の一文には、現代に生きる自分も共感。姉との別れの場面はとても切なくも愛おしい。

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    2024年03月30日
  • 石狩少女

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    何を買って読もうかな〜と悩んでいた時ふと目に入った本。
    誰かを待っているかのようにひっそりと置かれた、純粋ながらどこか哀愁を漂わせる少女の表紙に一目惚れして読み進めると、現代とは時代の背景がだいぶ異なるものの、情景がすんなりと目に浮かぶような繊細な表現に引き込まれて一気に読み終わってしまった。国木田独歩という小説家が度々登場するが、この「独歩」というワードが、さまざまな人に囲まれた独りの少女の感情と重なっているような気がして個人的にお気に入りのポイント。
    終盤に書かれた、主人公と仲の悪い姉からの手紙は涙せずには見られなかった。何処か間接的な大人、女性への偏見、許嫁等が当たり前だった封建的な時代

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    2024年04月12日
  • 石狩少女

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    明治末の北海道札幌で幼少期を過ごした著者の自伝的小説。
    私も子供のころ札幌で生まれ育ったのだが、さすがに明治時代の様相はわからないなー、と思いながらも、著書の素晴らしい描写により様々な感覚が記憶に呼び戻された。雪解けあたりの地面の匂いとか肌に当たる冷気とかなんだかはよく知らない木の実が宿る頃のまとわりつく空気とか。ああ、著者も私も北海道の人間なんだなぁ、と時空を超えて感じさせてくれた不思議な書物であった。

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    2024年01月23日
  • 石狩少女

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    強くまっすぐな人間に出会えた作品です。
    明治を舞台にしていることから、女性の立ち位置があまり良くありません。
    文学を読むことが野蛮とされる。良妻賢母、勉学よりも裁縫や料理。子どもがいて家庭の中心でも、姑や舅によって家から追い出されてしまう嫁などなど....

    私が印象に残っているシーンは、最初主人公が名前を聞かれるところです。しかし、主人公は答えません。なぜなら答えたくなかったからです。
    自分の気持ちに正直で強い。このような自分を強く持てる人間になりたいと思わせてくれました。

    また、最後の「私は一生一人でいようと思ったのである。」で締めくくられているのも心に残っています。
    最後の言葉は、秋田

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    2024年11月23日
  • 石狩少女

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    特に知識なしで読み始めてしまい
    時代背景が飲み込めず、ひたすら
    もどかしく哀しい気持ちになっていった。
    解説を読み著者の自伝的な位置付けや家長が結婚を決める時代背景を知る。
    読んでいて、文学への想いを抱えて気持ちを随筆、自伝小説にこめていく姿が「更級日記」を思い出させた。

    当人が「恋」であることに気づいてない感じが、解説を読んで理解出来た。それくらい恋をすることが禁じられていたのね。

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    2024年04月01日