森田たまのレビュー一覧
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著者は明治生まれの作家であり、参議院議員でもありました。
日本、西洋の食に触れられた随筆集です。何度も読み返したくなるような、日本語の美しさが散りばめられている文章にうっとり。「他人のほころびを縫う気持ちを…..あらゆる親切は、そこからあふれてくるものでなくてはならない」という表現が印象深く、人間性が出ているなと思いました。
秋刀魚の配給があったこと、西洋菓子がしゃぼんの匂いがしたこと、終戦後、さつまいもを食べる時、必ず塩を添えて食べなければ栄養失調になると言われていたことなど「へぇー知らなかった!」ということが記されていて勉強なりました。
小説と随筆の区別の仕方の例えで、小説は会席料理 -
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「本読む少女は生きづらい - 明治末の女学生・野村悠紀子の青春と苦悩。少女小説の傑作、待望の復刊!」との帯に惹かれて読んでみれば、何という名作!この手の本を眠らせておいて、本が売れないとか言っている出版社のなんと多いことか…
冒頭「風が、土が、日光が、果実をそだてるとおなじように、その土地の少女もまた、うるわしい果実の一つとして成長する。」と詩的な文章で始まる本作は、明治末に北海道札幌で生まれた、一少女の成長物語。著者自身が幼少期を過ごした経験を踏まえた、半自伝的小説です。
主人公の悠紀子は、文学が好きで、空を眺めていたり、林檎畑に出かけたるのが好きな女学生。しかし、当時は良妻賢母を良しと -
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入手しづらい状態が続いていたが、界隈では人気の作品とのこと。1940年に発刊された自伝的長編小説の復刊と知り、気になって読んだ。
本読む少女は不良だと思われていた時代。
良妻賢母教育に抗う文学少女、悠紀子のお話。
北海道で生まれ育ち、女学校に通う。色々なもめ事があったり、あらぬ疑いをかけられたり、誤解を招く事が多くて、あまり楽しそうではない青春を送っている。
でも土井先生だけは唯一の救いだった。悠紀子のことを、ここに留まっているべき人物ではないと励ましてくれる。そんな土井先生もやがて学校を出て行き…。
あと、お姉さんもいるが病気になって、体の弱い悠紀子は追い出されるように秋田の親戚の元へ送ら -
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森田たまさんの復刊、手にとれてよかったです。
明治という時代に良妻賢母になろうとは思わず将来学問で身を立てたいと思っていた悠紀子はこの時代では珍しかっただろうと思う。でも、いつの時代も周りがそうだからと合わせることなく、女性であるとか関係なく自分の道を自分で切り開く人が必ず1人はいるんだなと思いました。
男性でも、女なんだから学問などしなくてもよしと考える人ばかりではなく土屋先生のように「あなたは必ず文章で身をたてる事のできる人です」と言ってくれる人もいて、この時代にそう言ってくれる人と出会えるのは稀だったんじゃないだろうか。
フェミニズム的なものを感じました。 -
Posted by ブクログ
自伝的な中編。一八九四年(明治二七年)に札幌で生まれた女の子は文学少女となっていくが、その頃は文学や恋愛は不道徳なものであり、お裁縫に長けた姉と母に虐げられ、周囲の男たちからは揶揄われ、当時としては当然のことながら勝手に顔も知らぬ男を婿養子に迎えることを決められたり、と、散々な青春時代を歩んでいく。しかしそんな時代にもちゃんと理解者は現れる。それが主人公(というか森田たま)を勇気づけていく。正直いってあちこちなんだかなあと思う箇所はあるけれど、それは、今の時代に読むから思うこと。最後の一文には、現代に生きる自分も共感。姉との別れの場面はとても切なくも愛おしい。
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Posted by ブクログ
何を買って読もうかな〜と悩んでいた時ふと目に入った本。
誰かを待っているかのようにひっそりと置かれた、純粋ながらどこか哀愁を漂わせる少女の表紙に一目惚れして読み進めると、現代とは時代の背景がだいぶ異なるものの、情景がすんなりと目に浮かぶような繊細な表現に引き込まれて一気に読み終わってしまった。国木田独歩という小説家が度々登場するが、この「独歩」というワードが、さまざまな人に囲まれた独りの少女の感情と重なっているような気がして個人的にお気に入りのポイント。
終盤に書かれた、主人公と仲の悪い姉からの手紙は涙せずには見られなかった。何処か間接的な大人、女性への偏見、許嫁等が当たり前だった封建的な時代 -
Posted by ブクログ
強くまっすぐな人間に出会えた作品です。
明治を舞台にしていることから、女性の立ち位置があまり良くありません。
文学を読むことが野蛮とされる。良妻賢母、勉学よりも裁縫や料理。子どもがいて家庭の中心でも、姑や舅によって家から追い出されてしまう嫁などなど....
私が印象に残っているシーンは、最初主人公が名前を聞かれるところです。しかし、主人公は答えません。なぜなら答えたくなかったからです。
自分の気持ちに正直で強い。このような自分を強く持てる人間になりたいと思わせてくれました。
また、最後の「私は一生一人でいようと思ったのである。」で締めくくられているのも心に残っています。
最後の言葉は、秋田