阿部保のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
以前、映画でポーが亡くなる前の数日間を画いた作品を観た。そのときからポーの謎の残る死と、ポーの心を現しているだろう詩に興味を持っていた。
今回はポーの詩の中でも特に読んでみたかった、「大鴉」「アナベル・リイ」の含まれた本書を読んでみた。
18篇の詩と、「詩の真の目的」という短い文章の載った一冊。
全体として、暗く絶望を感じる作品が多かった。
それでも美しい言葉の響きは見事で、暗くさみしい、閉塞感のある世界ではあるけれど、またひとつと読み進んでしまう。
多くの詩の中では、特に「アナベル・リイ」が印象に残る。
ポーが亡くした妻への思いを籠めたとされているだけに、今は亡き愛しい妻への思いに溢れ -
Posted by ブクログ
阿部保訳のエドガー・アラン・ポー。
日夏耿之介訳よりも平易な訳であるが、かといって現代に即した口語で読みやすいという訳でもない。
(1956年発行だそうである)
死んだ妻への哀惜が込められた詩が多く、「大鴉」はまさに絶唱であるが、一方でポーの詩における美少女達は容姿も画一的で人格も希薄であり、ただロリータ・コンプレックス的に若いということが強調され、単なる「恋愛詩のための道具」「ポーの中の美少女のイデア」に貶められているきらいがないでもない。
ポーが十三歳年下の妻を早くに亡くしたということを踏まえると不適切な言葉ではあるが、私の眼には、純愛に名を借りた物言わぬ死せる美少女に対する一種偏執狂的