100年ほど前のデンマークの冬は厳しかったに違いない。
厳しさに比例するかのように、冬景色にきらきらと美しい物語が紡がれている。
表紙に描かれた絵は、短編集のイメージが書かれているので、読書の途中で表紙を見ると物語の中に迷い込んだようだ。
現代のミステリー小説を読みなれた目には、物語の展開が少しゆ
...続きを読むったりと感じるかもしれない。しかし、最初のごく短い一遍で、たちまち物語の中に引き込まれてしまう。
各々の短編はそれぞれに違う世界が書かれているが、それぞれに美しい人々の、美しい物語を味わうことができる。特に『ペーターとローサ』は小説でしか表現できないだろうな、と強く思う。