ブルース・チャトウィンのレビュー一覧

  • ソングライン

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    アボリジニの先祖へと辿るソングライン

    この世という過酷で不毛な荒野をさまようさすらい人であり、その本来の姿を再発見するため、人は愛着を捨てて旅立たなくてはならないのだ

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    2025年10月11日
  • パタゴニア

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    祖母のプロントサウルスの獣皮と
    一角獣の寓話から始まるエッセイ

    難攻不落な構成は
    波乱に満ちた作者の人生に似ている

    南米最南端を形成した
    喧喧囂囂なアウトローたちと
    その文明の衝突

    どこかで誰かと
    繋がっている様な…
    懐かしい親和性を覚えた

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    2022年07月18日
  • パタゴニア

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    話が大分、広範囲に及んでいるので、ほんの一部しかついていけなかったのだが、大好きな映画の「明日に向かって撃て」のブッチとサンダンスの登場にはテンションが上がった。映画の中では大きな期待を持って向かった先がボリビアだった。(駅前は閑散としたど田舎だった)
    ボリビアからもう少し南下すればそこはそこはパタゴニアだ。
    いつかパタゴニア地方に行ってみたいな。

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    2019年07月15日
  • パタゴニア

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    見渡すあらゆる地平にはるか遠く空を抱く純粋さを示す場所なのか、吹き荒ぶ凍りついた風が大地の岩に引っかき傷を作りながら突き刺さる太陽の痛みを記録する失われた場所なのか。
    ひととひとの単調に繰り返す営みに馴染めない者がやがて吹き溜まる場所なのか、ひとがひとらしく強さと弱さをそれぞれに見せながら生きる都会から少しばかり遠い場所なのか。
    記憶はやがて薄れるものではなく、次第に好きなように姿を変えるものである。どこか本棚の隅にしまい込んだはずのパタゴニアの大地の写真は、到底自分が自分の脚で歩いて撮ったものでもなく、雑誌の付録としてあったグラビア印刷の広告だった。その荒涼とした大地には確かに道であると脳の

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    2017年11月19日
  • ソングライン

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    読み始めてしばらくは亡羊としてまさに蜃気楼のようにつかみどころが無かったが、やがてその思想や論理が、あたかも意図的に断片的に現されるストーリーとリンクするかのように確実に輪郭を結び、すさまじい意識変革を促してくる。社会、心理、政治、経済、そして哲学。およそいままで触れてきたすべての知性によって糊塗された価値観を軽々と持ち上げ裏返されるエネルギーを感じた。
     すさまじい書である。

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    2015年06月28日
  • ソングライン

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    この本がイギリスで出版された1987年の翌年にブルースチャトウィンはAIDSで死んでいる。最初の著作「パタゴニア」を書くきっかけとなった旅には松尾芭蕉の「奥の細道」を持参したという彼の、オーストラリアの旅の記録。
    オーストラリアのアボリジニ達は、自らの土地にまつわる風景、地形、岩、樹などありとあらゆる事象を先祖伝来の「歌」として記憶する。その歌をたどれば、オーストラリア大陸の隅々まで旅をする事が出来るという。
    オーストラリアを舞台にしたロードムービー的な記録の合間に、著者が自らの半生の旅の最中に書き溜めた文章・言葉・詩などが混じる。
    装丁が素晴らしい。Bookoffには持ち込まず、本棚に置いて

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    2013年11月04日
  • ソングライン

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    アボリジニでは、子供が喋りそうになると、母親はその子に土地の植物や昆虫を持たせ、抱いて歩く。
    その歩くリズムと土地の動植物の名前を子供が覚える。
    そうしてアボリジニの土地を子供に与える。
    ぜひ、私もそうやって暮らしてみたい。そう思える。これが本当の人の関わり方の原型ではないかと言いたくなる。
    「そんな子供が詩人にならないわけがない。」448p

    生まれる前からゲーム音に囲まれて育つ日本の子供達とは何たる違い。
    その違いは「土地」の意味の違い。そして「土地」との関わりの違い。

    そうやって中央オーストラリアにそれぞれのアボリジニによる数多くの歌の道・ソングラインが作られてきた。

    「病院の乳児病

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    2012年11月08日
  • ソングライン

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    なんだろう、読み終わった後の、この心地よさは・・・
    男をも女をも虜にしたという、チャトウィンの魅力に捕われてしまったということなんだろうか。

    非難めいたことも、失望も、怒りも口にすることなく、あるがままを淡々と受け入れているかのような。
    片隅にひっそりと佇みながらも、好奇心に溢れたまなざしで人々の話に耳を傾けているかのような。
    無愛想なアボリジナルのおばさんでさえ、思わず手を伸ばしてその頬をなでたくなるような。

    旅行記の呈をしたフィクションということなのだが、どこまでも優しげなその語り口に魅了される。

    ラスト、瀕死の状態にある氏族の長老たちを訪ねるアボリジナルの青年に同行し、まさにソング

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    2010年02月24日
  • ソングライン

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    己の視野の狭さをまざまざと突きつけられました。迫りくるとてつもない荒野。広く遠い地平線。
    アボリジニが見つめ続ける、あらゆるものの原型としての世界。人は大地から動物から、全てを教わってきた。切り離せるはずもない。その足で、歩み続けるということ。どこからきて、どこへゆくのか。
    目覚め、歌い巡り、世界を構築し、還っていった先祖たち。名前を呼ぶ。引き付け合う。そしていつか辿りつく己。外から内へ。
    読み進めながら、何か取り返しがつかないような気持ちに襲われて。手の届く範囲で問いと答えを出してしまう都市生活を、改めて自覚。原文で読みたい…レッツレッスン英語ー。
    あー旅に出ねば!一種の飢餓感。また少しずつ

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    2009年10月07日
  • パタゴニア

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    紀行文のようなトーンかと思ったら急に地域史を深掘りし始めたりと、エネルギーのままに書かれたような作品だった。文章として読みやすくはないが、それほど大変な旅ではないはずなのに冒険のような臨場感が伝わってきた。

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    2025年09月23日
  • パタゴニア

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    嘘とも真ともつかぬエピソードが次から次へとくりだされる。なんと自由奔放なことか。池澤夏樹による解説もよい

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    2021年03月13日
  • パタゴニア

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    旅行記というか随筆。著者の興味に沿って挿話がたくさん入る。パタゴニアに関わった何人かのアウトローたちの伝記を綴り合わせたような本。荒凉とした平原を移動、ふっと立ち上がる回想ドラマ、また荒凉とした平原…を繰り返して、最後の長い挿話は著者の大伯父の伝記、旅の目的を果たして帰路へつく、という構成。
    相互に関係の薄い脱線が全体としてパタゴニアという土地の雰囲気を表しているような、しかしこれは著者の頭の中だけのパタゴニアであるような。発表当時は旅行記としてかなり独特のスタイルだったのではと思う。
    ちなみに挿話のそれぞれの語りは淡々としているものの、内容は波乱万丈で人間の運命を考えさせられるところがあり、

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    2020年06月15日
  • パタゴニア

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    2018/05/14 読み終わった。
    ちょっと長い。その分、荒涼とした、パタゴニアの風景を感じられるかも。Googleマップを片手に読んだ。
    いろんなルーツの人が出てくる。イギリス、ドイツ、北欧。アフリカ系や、中華圏もいたかな。新大陸だと実感する。
    Googleマップでアルゼンチンの街並みを見ると、どこも綺麗な碁盤目になっていて、中にはほぼパーフェクトな街並みも見られる。シムシティみたいで面白い。

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    2020年02月01日
  • パタゴニア

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    憧れのパタゴニアに旅しながら読んだ。アルゼンチンの歴史を語る本って中々見つけられなかったのだが、友達に勧められて手に取った。今回は行けなかったがウシュアイアとか行ってみたいな。パタゴニアの事が昔のエピソードを中心に知れて良かった

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    2019年03月27日
  • ソングライン

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    写真家石川直樹氏の解説付きで待望の復刊。
    訳者の後書きが新たな視点を与えてくれます。
    モレスキンノート愛用者必読の逸冊。

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    2009年12月06日
  • パタゴニア

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    まるで物語のような紀行文。現地の人たちのたくさんの話をベースに、現実と空想の間をさまよいながら著者がパタゴニアの大地をあるき続けていく感じ

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    2019年12月21日
  • パタゴニア

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    語りが淡々としていて、基本はじいちゃんばあちゃんの興味ない昔話を聞かされているような気分になる。が、ときどきふっと、自分の生が人類の限りない営みと接触して、自分の中に人類の歴史が流れ込んで来るかのような何とも言い得ない複雑な感動が味わえる瞬間がある。

    南米は文明と非文明が衝突した土地なんですね。こんなに悲しい歴史があったとは知らなかった。しかも、それほど時間差なく(もしくは並行して?)文明と文明の衝突にも巻き込まれている。欧米や日本にはない種類の深い悲哀を感じずにはいられない。

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    2017年12月31日
  • ソングライン

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    オーストラリアのソングラインに魅力を感じると言うよりも、「どうして旅に出るのか」「ノマド的な生活スタイルとは?」というチャトウィンの思想的な部分に魅かれる。それに色々な人々の旅想(?)とも呼べるような、チャトウィンによる引用やノートもとても魅力的だった。次は、『パタゴニア』。

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    2012年10月11日
  • ソングライン

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    オーストラリアのアボリジニに伝わる、伝説を織り込んだ歌。その中には土地の特徴も歌い込まれており、歌を歌いながら祖先が辿った道のりを同じように歩くことが出来る。いくつもの部族のいくつもの歌が、平面ではなく、網目のように、オーストラリア大陸全土に広がっている。

    不思議な味わいの本である。
    作者はソングラインに惹かれてオーストラリアに渡り、その謎を追う旅をする。間には、作者がオーストラリアに来る前に出会った言葉、土地、人々、それらに関する作者の思索の膨大な量のノートが挟まれる。

    人はなぜ旅をするのか。旅とは何なのか。

    忙しい日常の中、秩序立てて読む本ではなく、旅先でたゆたうように読む本なのかも

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    2011年06月21日