【感想・ネタバレ】パタゴニアのレビュー

あらすじ

黄金の都市、マゼランが見た巨人、アメリカ人の強盗団、世界各地からの移住者たち……。幼い頃に魅せられた一片の毛皮の記憶をもとに綴られる見果てぬ夢の物語。紀行文学の新たな古典。

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Posted by ブクログ

祖母のプロントサウルスの獣皮と
一角獣の寓話から始まるエッセイ

難攻不落な構成は
波乱に満ちた作者の人生に似ている

南米最南端を形成した
喧喧囂囂なアウトローたちと
その文明の衝突

どこかで誰かと
繋がっている様な…
懐かしい親和性を覚えた

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2022年07月18日

Posted by ブクログ

話が大分、広範囲に及んでいるので、ほんの一部しかついていけなかったのだが、大好きな映画の「明日に向かって撃て」のブッチとサンダンスの登場にはテンションが上がった。映画の中では大きな期待を持って向かった先がボリビアだった。(駅前は閑散としたど田舎だった)
ボリビアからもう少し南下すればそこはそこはパタゴニアだ。
いつかパタゴニア地方に行ってみたいな。

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2019年07月15日

Posted by ブクログ

見渡すあらゆる地平にはるか遠く空を抱く純粋さを示す場所なのか、吹き荒ぶ凍りついた風が大地の岩に引っかき傷を作りながら突き刺さる太陽の痛みを記録する失われた場所なのか。
ひととひとの単調に繰り返す営みに馴染めない者がやがて吹き溜まる場所なのか、ひとがひとらしく強さと弱さをそれぞれに見せながら生きる都会から少しばかり遠い場所なのか。
記憶はやがて薄れるものではなく、次第に好きなように姿を変えるものである。どこか本棚の隅にしまい込んだはずのパタゴニアの大地の写真は、到底自分が自分の脚で歩いて撮ったものでもなく、雑誌の付録としてあったグラビア印刷の広告だった。その荒涼とした大地には確かに道であると脳の奥でだけわかる砂利の川が流れ、特段憧れるような美しい風景が写っているわけでもなく、ただその見慣れない風景に漠然とした憧れのようなものを感じたのだった。同じ名前のアウトドア・ブランドに少しだけ惹かれていたということもあった。実際、それがどんな写真だったかも覚えていないが、ただひたすら月に降り立ったかのような異空間は、やがて機会があれば一度は見てみたい場所となったのだった。
暫くして再会したパタゴニアは、その南の隅にあるウシュアイアという街となってテレビの中に現れた。南極に向かう船の出発点として、そこはどこか他人事のような風景を引き摺ったコンクリートの街だった。きっと南極に向かう船が眩しかったのだろう。まさにそこにいて頑強な灰色の船に乗り込んだ知人は、ただ美しいと言って多くを語らなかった。それがパタゴニアの習いというものなのだろう。もちろん、一度も行ったことのない遥かな憧れとして。

旅行記の新たな地平を切り開いたとされるこの作品は、現実と幻想がどこかで交錯するフィクションでもある。そこでは時間までもが行き来する。それでいて、それは疑いようもなく紀行文である。読者はいつのまにかパタゴニアを放浪し、太古の時代から現代までを見晴るかす。時に強風に潮がセールをもぎ取って行く海峡を超え、時に銃弾の乾いた音に身構える。そうやって読み終えた時、遠いパタゴニアはそこにある。

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2017年11月19日

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紀行文のようなトーンかと思ったら急に地域史を深掘りし始めたりと、エネルギーのままに書かれたような作品だった。文章として読みやすくはないが、それほど大変な旅ではないはずなのに冒険のような臨場感が伝わってきた。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

嘘とも真ともつかぬエピソードが次から次へとくりだされる。なんと自由奔放なことか。池澤夏樹による解説もよい

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2021年03月13日

Posted by ブクログ

旅行記というか随筆。著者の興味に沿って挿話がたくさん入る。パタゴニアに関わった何人かのアウトローたちの伝記を綴り合わせたような本。荒凉とした平原を移動、ふっと立ち上がる回想ドラマ、また荒凉とした平原…を繰り返して、最後の長い挿話は著者の大伯父の伝記、旅の目的を果たして帰路へつく、という構成。
相互に関係の薄い脱線が全体としてパタゴニアという土地の雰囲気を表しているような、しかしこれは著者の頭の中だけのパタゴニアであるような。発表当時は旅行記としてかなり独特のスタイルだったのではと思う。
ちなみに挿話のそれぞれの語りは淡々としているものの、内容は波乱万丈で人間の運命を考えさせられるところがあり、面白かった。どれだけ「盛って」るか不明だけど。

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2020年06月15日

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2018/05/14 読み終わった。
ちょっと長い。その分、荒涼とした、パタゴニアの風景を感じられるかも。Googleマップを片手に読んだ。
いろんなルーツの人が出てくる。イギリス、ドイツ、北欧。アフリカ系や、中華圏もいたかな。新大陸だと実感する。
Googleマップでアルゼンチンの街並みを見ると、どこも綺麗な碁盤目になっていて、中にはほぼパーフェクトな街並みも見られる。シムシティみたいで面白い。

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2020年02月01日

Posted by ブクログ

憧れのパタゴニアに旅しながら読んだ。アルゼンチンの歴史を語る本って中々見つけられなかったのだが、友達に勧められて手に取った。今回は行けなかったがウシュアイアとか行ってみたいな。パタゴニアの事が昔のエピソードを中心に知れて良かった

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2019年03月27日

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まるで物語のような紀行文。現地の人たちのたくさんの話をベースに、現実と空想の間をさまよいながら著者がパタゴニアの大地をあるき続けていく感じ

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2019年12月21日

Posted by ブクログ

語りが淡々としていて、基本はじいちゃんばあちゃんの興味ない昔話を聞かされているような気分になる。が、ときどきふっと、自分の生が人類の限りない営みと接触して、自分の中に人類の歴史が流れ込んで来るかのような何とも言い得ない複雑な感動が味わえる瞬間がある。

南米は文明と非文明が衝突した土地なんですね。こんなに悲しい歴史があったとは知らなかった。しかも、それほど時間差なく(もしくは並行して?)文明と文明の衝突にも巻き込まれている。欧米や日本にはない種類の深い悲哀を感じずにはいられない。

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2017年12月31日

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