飯田裕久のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルからして専門用語だし、他で今まで読んだことがないほどに警察内部の様子が克明に描写されていて、なんだこの小説と思ったら、著者は元本職でした。
いわゆる小説家が書いた小説とはあきらかにレベルが違い、一線をはるかに超えて、警察の内部の世界がありえないくらい惜しげもなく披露されている。物語の核となる事件自体には、奇をてらうトリックも、心を動かされるような人間模様もほとんどない。ただの、と言ったら不謹慎かもしれないが、平板な殺人事件。読ませるのは、時間を追って描写される、警察内部の捜査の進め方、それと主人公の「部屋長」の刑事としての心理の動きのみである。
つまりくどいようだが、エンターテイン -
Posted by ブクログ
通常の警察ミステリとは少し趣が違う。作者の前身が警察官ということが作品に与える影響は、プラスマイナス両方あるように思える。
プラス面。これはもう圧倒的なディテ−ルの細かさだろう。事件前の待機期間から、捜査、解決に至るまでの一連の流れは丁寧で細やか。本作品はそれぞれの“役割”に重きを置いてあり、その現場にいた者しか知りえない温度や匂いといったものが行間から伝わってくる。しかも、小難しい表現は一切なく、簡素に要約してあるので大変読みやすい。
マイナス面というか少し気になったのは、キャラに作家の意見を代弁させるシーン。ただこれは、言ってることも正論だし、読んでて不快に感じることはないのだが、あまり多