デイヴィッド・エバーショフのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語」が2015年の映画化をきっかけに「リリーのすべて」として文庫本化。
ネーミングセンスとしてはさて置いて、
元の邦題のタイトルのままを文学的語っている。
ただ、映画きっかけで読んだ私としては、
この小説は映画「リリーのすべて」を序章とした
大長編小説のように感じた。
実在の人物を元に語られる物語で、
その事実のキャッチーさが目を引くけれども、
たっぷりとした文章で語られるのは、
真にリリーになったアイナーと、
アイナーの妻であったグレタの愛の軌跡。
彼らの生き方や信念が、本当に本当に
尊いものとして当時受け入れられていたなら、
今の社会 -
Posted by ブクログ
アイナー/リリーとグレタ両人が「アイナー/リリー」の間で戸惑い揺れ動いてる様子がとても丁寧に描かれているという印象。
グレタの庇護のもと成長したリリーという少女が、やがてはグレタから離れ、ひとりの大人の女性として独立する(そしてグレタも女性として新たに歩み出そうとする)お話かな。
だから突き放されるようなラストが寂しい。
グレタだけでなく、ハンス、カーライル、ヘンリクと理解者に囲まれた優しい世界のお話なんだけど、親離れ子離れのような寂しさと苦しみが切ないな。
映画はひとを愛することに焦点が当たってるのでさらに優しい世界。泣きたいなら映画を見た方がいい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画化を知って、原作が気になり本日購入。
映画のCM動画を公式サイトで見たうえで原作読んでいます。
女装のきっかけは、急に来れなくなったモデルの代わりにストッキングをはいて、ドレスを当てた姿で妻のモデルになり(夫婦ともに画家です)、絵筆を走らされた体験から。この、ストッキングの描写がとってもなまめかしいです。あら、自分ってばこんなに足フェチだったかな?と興奮してしまいました。「グレタ、このことは秘密にして」という恥じらいの見せ方もそこら辺の女子に比べると格段に上です。
異性装から始まった物語が性別違和に進み、最終的には半陰陽だったという最後まで引っ張りまくります。
元々半陰陽だったから幼い