六車由実のレビュー一覧

  • 介護民俗学という希望―「すまいるほーむ」の物語―(新潮文庫)

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    「介護民俗学」を提唱する六車さんのことは何となくそういうものがあることくらいしか知らなかったので、実際のところどんなものだろうと一冊読んでみた。
    この本ではデイサービス施設での利用者の高齢者たちとのエピソードが紹介されている。高齢者の話すことを聞き書きしているということだけど、聞き書き自体の効用というより聞き書きできるゆとりをつくることとか、高齢者の話をきちんと聴くスタンスで向き合うことが大事なのだと思った。
    紹介されているエピソードがしみる。戦時中に娘時代を送った人々の話からは、けっして暗く悲惨なばかりの青春時代でなく、当時は当時なりに日々を楽しんでいたことがわかる。教科書とかでは伝わらない

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    2023年12月17日
  • 介護民俗学という希望―「すまいるほーむ」の物語―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    民俗学の研究者だった女性が、介護施設で働きながら、「聞き書き」のスキルを生かしてみたところ、施設運営やサービスが劇的に変化していく。

    民俗学X介護という組み合わせがビックリな組み合わせだが、介護する対象が歴史の詰まった高齢者なのだから、ある意味情報の宝庫と日々接しているようなものだ。

    風船爆弾工場の話や、満洲での生活など、大変興味深い生活史。

    ただの機能低下した老人の世話、ではなくて、「あなたに興味がある」と真摯な眼差しを向ける介護者によって、おじいちゃん、おばあちゃんが劇的に変わり始める。盆踊りの振り付け指導したり、お料理の腕を奮ったり。

    思い出の味の再現クッキング、リアル人生すごろ

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    2020年10月29日
  • それでも私は介護の仕事を続けていく

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    この著者の本を読むのは3つ目。同じような内容にも関わらず、新しい発見がある。
    この本はコロナが一番流行っていた時期に書かれたもの。著者の誠実な人柄がよく現れている。
    「自立とは、依存先を増やすこと」という熊谷晋一郎さんの言葉や、面倒、迷惑なことを含めて人との関わりが大切だという著者の言葉に介護に対する希望が見える。
    関わりを大切に暮らしていきたい。

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    2025年06月12日
  • 介護民俗学という希望―「すまいるほーむ」の物語―(新潮文庫)

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    「介護の無意識」

    イノカシラレイコさん(仮名、90代女性)は「華麗なる一族」だった。
    2人の娘はアメリカへ留学し、一人は関東の某自治体の副知事を務め、もう一人は全国紙に記名記事を書くくらいの記者だ。
    娘さんたちが面会に来てしばらくすると、レイコさんは決まって力なく「もう帰って」と云っていたものだった。
    多分しんどかったのだろうなと思う。レイコさんは心臓が良くない。平常時の脈拍は40回/分程度で、少しの運動でも喘鳴が起こる。それでも娘さんたちは機能訓練をオプションで依頼し、立ち会っては実の母に対し「ほらレイちゃん頑張って!」と励ましていた。それが終わると自分たちが用意した脳トレプリントが待って

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    2025年01月19日
  • 認知症とともにあたりまえに生きていく ―支援する、されるという立場を超えた9人の実践

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    認知症の当事者や治療(?)、ケアや社会的なサポートにあたる人たちによる本。どこかで見たようなコンセプトだけど、特徴的なのは当事者である丹野さんが編著として、藤田さんが著者としてかかわっているところだろうか。特に、藤田さんは長らく人権活動にかかわっていたそうで、こんなことを言っている(p.39)。

     私は元々、人権活動に取り組んでいました。その経験がいまの活動に大きく影響していると感じています。子どものころは、とにかく人の後について、目立たないようにおとなしくしている子だったので、自分でもよく変われたなと思います。
     おそらく、結婚して子どもが生まれ、自分が子どもたちを守る立場になったことがき

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    2024年02月10日
  • それでも私は介護の仕事を続けていく

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    ネタバレ

    こんなところが近くにあって親を入れることができたらどんなにいいだろう。めったにないからこそなんだけど。すごい。

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    2024年01月03日
  • それでも私は介護の仕事を続けていく

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    デイサービス「すまいるほーむ」の管理者としての現場からの声を民俗学者ならではの聞き取りなどをベースにまとめている。一人一人に向き合うスタッフや利用者たちの友情支え合いがうまくいかない時でも確かな力となっていくようだ。
    迷惑をかけることも丸ごと受け入れるこんなホームがたくさんできるといい。特に毎年行われる劇が楽しそうだった。

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    2023年12月20日
  • 介護民俗学という希望―「すまいるほーむ」の物語―(新潮文庫)

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    夜の外出が楽しい。全くなくなるので。
    社会的入院はかつて介護制度がないとか、デイサービスなどは低所得者のみの利用だったので、ケアが必要な人は病院への入院となったから。
    老い、成熟、経験が意味を失っている。
    自立支援は自分で生活をできることだけでなく、地域の中でその人が活きること。
    高齢者ケアは生前供養の側面を持つ。
    聞き書きによりケアする側が教えてもらう側になる。一緒に作り上げる関係になる。

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    2018年11月21日
  • 認知症とともにあたりまえに生きていく ―支援する、されるという立場を超えた9人の実践

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    当事者である丹野智文さん藤田和子さん、ほかに医療者、研究者、行政担当による執筆。
    自身が当事者となった場合、家族が当事者となった場合に、前向きな「認知症感」を持つために、いっきに医療や介護にいくまえに読めたらいい一冊。

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    2025年07月22日