野村茂夫のレビュー一覧
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「無があっての有」とか「木鶏」は高校の漢文でやった記憶があった。
全体的に「儒教を嫌ってる」ということ、「取り繕うこと(意識して振る舞うこと)を嫌っている」ということはわかった。いい人間になりたければ、自分を磨き、勉学に努め、意識して他人に優しくしようとするというのはごく自然に感じるが、これは理想の状態ではないということだろう。
例えば、「腹黒いことを考えているが、人前では絶対悪口を言わない人」と「心が完全に澄んでいるが故に人前では絶対に悪口を言わない人」がいたとして、出力されるパフォーマンスとしては両者同じだが、前者は持続性・再現性がない(誰でもできることではない)。より多くの人に教えを -
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技術、知識に捕らわれない、もう一歩進んだ価値観を持つために必読の書です。
論語、中庸、大学と、孔子に連なる本を読んでいたところ、友人から「バランスを取るために老子も読んでおいた方がいい」と薦められました。
読んでみて納得です。
万物斉同(すべてのものはすべて1つである)という万物一元論を基に、孔子の考え方を「表層的」と暗に批判する姿勢に、孔子との違いを比較せずにはいられませんでした。
孔子が唯一であるよりも、比較対象があってこそお互いの意見にもっと寄り添うことができます。孔子が現実的、具体的であるとすれば、老子は、非現実的、抽象的です。そして、現実的である孔子の言を以て、まだ浅いと指摘し -
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中国古典は読もうと思いながらもなかなか読めずにいました。
現代語訳もついて有名な老子、荘子の文を厳選したのが本書です。ビギナーズクラシックというシリーズの名の通り初心者向けでとっつきやすい
無為自然を説き人間のありのままの姿で生きるべきであると説いた老子
善悪、生死などの価値はどちらがよりよいとか悪いとか絶対的なものはなく、それぞれに意味があると説いた荘子
かれらの考えがその『老子』『荘子』の中から伝わってきます。
やっぱり1000年以上日本人にも読まれてきた古典です。このように世の中、人間というものを洞察してきた老子、荘子にはただただ敬服するのみです。 -
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禅や文人画家の考え方の根底には老荘思想がありそうだな、としばらく前から関心を持っていたので、まずは入門書から…。「老子」「荘子」の成立した時代背景の説明などが最初にあったおかげで、すんなり本文に入れました。解説がとても親切でわかりやすい。
老子は教訓的な短い言葉で書き表されている一方、荘子は他の事象に仮託した説話のような語り口。どちらかといえば荘子の方がわたし好みです。「混沌の死」とか、イメージ的にも鮮烈でとても好きだなあ。
大事なことは言葉では伝えられない、という言葉への不信感があちこちに露わになっていて、ここが「不立文字」を旨とする禅宗とつながっているのですね。次は、こうした老荘の考え -
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老子と荘子のエッセンスを1冊にまとめています。
「ビギナーズ・クラシックス 中国の古典」の1冊で、入門書としては野末陳平の本と並んで最適かもしれません。
老子も荘子も、ユーモアとはいっても、なまぬるいものではありません。
辛口の批評を「飄々」とした乾いた笑いでコーティングしているのです。
オススメ度 ☆☆☆☆ 4つです。
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[出版社 / 著者からの内容紹介]
自然に身をゆだねて、心豊かに生きるための知恵の宝庫
老荘思想は、儒教と並ぶもう一つの中国の思想。わざとらしいことをせず、自然に生きることをすすめ、ユーモアに満ちた寓話で読者をひきつける。「大器晩成」「胡 -
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あんまり高校の授業でも時間を割いて習わないであろう老荘思想。けれど、中国思想史においては儒教に並んで大切な思想、ということがわかった。特に、李白や白居易の詩句に『老子』『荘子』の一説を踏まえた表現があることが解説されていたのが良かった。士大夫のA面は『論語』で出来ていて、B面は『老子』『荘子』なんだなぁ。
内容で言うと、個人的には『荘子』の「尾を塗中に曳く」が好き。高校の頃に一度読んでやたら記憶には残っていたけど出典を覚えていなかった話。命を削ってまで人の役に立とうとするより、人にほめられたりうらやましがられたりされなくてもいいから、自分に合った生き方をしたいという今の自分の原点はここだったっ -
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老子荘子の主な言葉を原文で引用し、解説がつけられている。
原著を読むとなると大変なのでコンパクトに読んでみるのにはとても良い。
老子や荘子の考えは現実離れしていたり、
言葉遊びに感じる部分も多く、
韓非子や荀子、孫子や孔子の方が的を得てるなと感じる。
無為自然はあたかも自然の摂理のようだが、生命が生きる上での論理には当てはまらないし、真実をついてもいない。
無を説くも中庸のほうが説得力がある。
ただ、老子の考えは一部ハッとする所もあった。
仁を絶ち義を棄つれば民は考慈に復る。とか。
荘子に至っては何でこんな頭の悪い人が賢者となるのか意味不明。おっさんのぼやきにしか思えなかった。
本自