マルク・エルスべルグのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
マルク・エルスべルグ『ゼロ (下)』角川文庫。
近未来社会派サスペンス小説の下巻。
上巻が全てだったという感じで、下巻では大きな展開も無く、予想通りの結末だった。
『ゼロ』の正体を暴こうとするシンシア・ボンサントは世界最大級のネット企業『フリーミー』の悪事を知り、『フリーミー』の罠にはまる。
今や誰もがSNSやメール、アプリ、ゲーム、検索エンジンなどでネットワークとつながっている。しかし、それはサービスを提供するIT企業に自らの個人情報を提供しているという事実を認識しておく必要があるのかも知れない。
本体価格880円(古本100円)
★★★ -
Posted by ブクログ
ドローンがアメリカ大統領を襲撃する映像が、匿名グループ「ゼロ」によってネット上に流出した。ただちにFBIとNSAは捜査を開始。
一方、ロンドンではスマートグラスを装着した少年が指名手配犯を追跡、犯人に射殺されるという事件が起きた。
「ゼロ」の関与を疑うジャーナリストのシンシアは彼らの正体を突き止めるべく調査を始めるが、次第に巨大な組織の影が忍び寄ってくる。
(あらすじより)
インターネット社会でのプライバシーや情報主権についてが主題の超近未来SF。
登場する機械やサービスはすでにあるものがほとんど。
少し違うのは現在より高性能、高機能な点だ。
面白いところは架空のIT企業「フリーミー」があ -
Posted by ブクログ
ネタバレ混乱し秩序を失ってゆく欧州。
汚物塗れの町、強奪が当たり前の日常、持つものは搾取し、持たざる者は荒み奪う。
追われるマンツァーノとシャノンは逃げ切れるのか、キーを捕らえられるのか。
もしも日常から電力が消えればどうなるのか、電力を生み出していた施設が毒をまき散らすとなれば何が起こるのか。
最悪の(もしかしたらさらなる最悪があるのかもしれないけれど)状況のシミュレーションを見たという感じがします。
「読み物」としてあれこれ要望はあるのですが、こういう状態を想定できたことはよかったか。
電気がなくて水は流れず食べ物を手に入れるのも一苦労。それでも生きているってことが一番大変だなぁと感じました。
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Posted by ブクログ
ネタバレそれは交通事故からはじまった。トラックに下敷きになった乗用車、鳴りやまないクラクション、灯っていない信号機ー。
火力・水力・原子力、あらゆる発電所が制御不能に陥り、ヨーロッパ中が停電に見舞われる。
原因はなにかー。
ハッカーのマンツァーノはいち早く異変に気付き・・・。
というお話。
考えたこともなかったですが、水道も電気でコントロールされてるんですか・・・?!?!
電気がないよりも水が使えない(トイレの水が流れない)のは精神的なダメージがでかいです。居住区域を清潔に保てないのは辛いなぁ・・・。
我々の通常の生活は、すべて電気がないとダメなんですねぇ。
電話もアナログ回線しかダメだから、スマホ -
Posted by ブクログ
IoTが広まり全てがデジタライゼーションされ監視社会となった近未来が舞台、人工知能(スマートマシン)を活用したパーソナルアシスタントサービスが買取を含む徹底した個人情報の収集を行い、その個人をイケテル男あるいは女にプロデュースすることで若い人を中心に人気を集めている。
一方、「データを独占する大ダコは退治しなければなりません、というのが私の意見です」をキャッチフレーズとするアニノマスのような謎のハッカー集団も組織されている。
そこで両者を巡ってミステリーの王道、殺人事件から物語が始まる訳ですが、マイノリティレポートのように殺人事件を予測できないのはともかく、監視社会と呼ばれる前提で、事件後 -
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本書は、2011年3月11日以降の日本で起こったフクシマの事実を踏まえ、テロによるブラックアウト(大規模停電)の恐怖を描き出した佳作である。我々にあまり馴染みのない銃を使わないテロは、静かに始まり、テロとは気づかないまま広域に我々の生活を蝕んでいく。犯人グループは、スマートメーターへのハッキングによる送電網の不安定化、復旧をはかるべく再立ち上げを行なう発電所の管理システムに潜ませた巧妙なトリックで発電所の動きを止めてしまう。その一方で、インフラである送電網の要に位置する変電所と送電線破壊行為を別動隊におこさせる。用意周到に準備され次々と繰り出す電気テロに長期化する停電、停電による給水の停止、止
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スマートシティー、スマートグリッドなど環境対応型の新都市構想が産官あげて隆盛な今日、新たな近未来社会のリスクを本小説が提言していると言っても過言ではない。先述のスマートシティーのコンセプトは、各家庭、各事業所の電力の使用状況を双方向型の電力メーターにより管理する事により総使用電力に対して効率よく発電を企図するものである。欧州では国家を越えて送電網が張り巡らされているのでその及ぶ範囲は、ほぼ欧州全土という広大なスケールとなっており、その範囲が広域に及べば及ぶほど何かの拍子にまるでドミノが倒れるがごとく、電力の供給が止まる可能性は高まっていく。
小説冒頭は、ニューヨーク大停電を彷彿させる欧州大停 -
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「ブラックアウト」とは停電の意味。イタリアから始まった大停電。当初は単なる事故ではと,すぐに復旧するものと考えていたが,停電の地域が拡大しヨーロッパ全域に。そんな中,元ハッカーのイタリア人がふとしたきっかけからこの停電が事故ではなく,不正なプログラムによって起こされたものだと知る・・・
当然,ラストでは事件も解決し電気が復旧となるのですが,復旧したからといってすぐに元通りの生活に戻ることができるわけではないのですね。例えば,水道にしても長期間上水道管に水が通っていないと,細菌等が発生しているため,清掃後でないと使用することができない等・・
普通に生活ができるというのは素晴らしいことだと -
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突然ヨーロッパ全域がブラックアウト(停電)となった!ヨーロッパ中にパニックが広がるなか、停電の謎のヒントをつかみ、捜査に協力する主人公・マンツァーノが、逆にこの災害の首謀者と疑われ、身柄を拘束されてしまう。逃げ出したマンツァーノはカメラマンのシャノンと一緒に、混乱のヨーロッパを逃げ回り、事件の真相に迫る・・・。本文中に「日本でおこった地震後の原子力発電所からの放射能被害」という言葉があった。ライフラインの停止した不自由な暮しの描写など、東日本大震災を思わせるものも多かった。あとがきにも、はっきりと書かれており、あの大震災が世界の人々にも、大きな衝撃を与えたことが良くわかった。特に水道についての
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Posted by ブクログ
ブラックアウトとは、「停電」のこと。電力送電線の異常により、イタリアとスウェーデンで突然大停電が発生する。その余波のように、大停電はまたたくまに冬のヨーロッパ全域へと拡大する。交通機関をはじめ、衣食住のすべてを家電に頼っている現代です。社会インフラはマヒし、町では食品の奪い合いや暴動が発生。やがてイタリア人のピエーロ・マンツァーノは、この事態が人為的にひきおこされたものだと気がつく。停電をモチーフにしたパニック小説だったが、停電に右往左往する町の人々の様子は、買いだめや暖房の用意、水の汲み置き、懐中電灯の用意など、3.11の後の計画停電の騒動も思い出した。いざ大停電になったときの心構えや準備な