スティーヴ・キャヴァナーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
★5 交換殺人がテーマの超ドキドキサスペンス! リアルにええぇって声をあげちゃう展開に熱中度MAX
■あらすじ
アマンダは娘を殺害した男に恨みを抱き、いつも後を付け狙っていた。社会復帰のためグループセラピーで仲間と交流を深めるうちナオミと出会う。彼女も同じ境遇であり。お互い憎んでいる人物を殺し合う、交換殺人の提案を受ける。
並行して若い夫婦が描かれる。夫スコットが留守の間に、妻ルースが青い目の男に襲われてしまうのだ。瀕死の重傷を負った彼女だったが、その後、襲ったと目される男を目撃し…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 超ドキドキサスペンス、驚きの展開に目ん玉飛び出ること請け合いですよ!
一度読み始めると次がどうなるか気になって気になって、もう読む手が止まらないのよ。これぞエンタメ小説! って作品で、もはやディーヴァーばりの熱中度ですよ。
なにがおもろいって、まず登場人物たちの置かれている境遇がめっちゃシンドイのよ。
アマンダは娘が襲われたうえ殺害、ショックで夫が自殺。犯人クローンが捕まるも、彼は金と権力で無罪を勝ち取られてしまう。怒り狂ったアマンダはクローンをストーキング… 刑事に諭され、彼女はグループセラピーに通うことになる。
一方スコットとルース夫妻。自宅で襲われ、心と体に傷を負ったルースは、犯行時の恐怖で精神を病んでしまう。スコットは付きっ切りで妻の看護をすることになる。もう追い詰められ度がスゴイ。
それでまた悪者が酷すぎんのよ、悪い奴ってなんでこんなにも根性腐ってるんでしょうか。そして唯一の良心、刑事ファロウ。彼のおかげでなんとか精神を保てます。
そうなんです、本作はキャラクター像がはっきりしてるし、立場や境遇が分かりやすいってのがいいですよね。
さらに素晴らしいのはプロットですよ、これぞサスペンスって展開が繰り広げられます。タイトルを見直してみましょう『キル・フォー・ミー キル・フォー・ユー』。私のための殺人、あなたのための殺人、本作は「交換殺人」がテーマなんです。
詳しくは言えないんだけど、もうめっちゃ凝ってるんですよ。何度、え、えぇっ~~~! とリアルな声をあげたことか。家の中で読んでてよかったよ、ほんと。主要人物は10人くらいだけど、関係性がこんがらがってしまう方は、人物関係図を書きながら読むのがオススメですよ。
今年いちばんドキドキワクワクしながら読んだかもしれない、そのくらいエンタメ&サスペンス度がマシマシです。
■ぜっさん推しポイント
暴力で追い詰められ、恐怖に慄く描写がめちゃくちゃ上手なんすよ。本当におびえている姿が真に迫ってました。人がここまで追い込まれてしまうと、もはや狂気でしかなく、日常生活をおくるのは難しいんでしょうね… 身近な幸せは大切にしたいし、翻って悪党ってのは、マジで許せんなーとピキりましたね。 -
Posted by ブクログ
ダイナーのトイレで銃を突きつけられ、爆弾付きのジャケットを着せられた上、法廷に放り込まれた弁護士フリン。ロシア・マフィアのボスの保釈の為、証人を爆死させる計画だった。背けば誘拐された10歳の愛娘の命は即消える。昔、スリや詐欺で慣らした腕でさまざまな困難に立ち向かうフリン。31時間という期限付きな為、スピード感があった。妻との別居や1年前に携わった事件が元でのアル中の治療入院を終えたばかりのフリン。その彼が娘を救い、弁護士の誇りをかけボスに徹底的に制裁を与えるべく奔走する姿はめちゃくちゃカッコ良かった!
リーガルサスペンスでありながら、アクションもたっぷり味わえた。本国ではシリーズを重ねているらしいが、残念ながら続きは翻訳されておらず… -
Posted by ブクログ
全編にみなぎる熱量が凄い。一時期ミステリ界を席捲したリーガル・サスペンスの一種だろうというバイアスは、幕開けから覆される。本作は、臨界点まで追い詰められた男の闘いを、圧倒的な筆力で活写した血が滾る傑作である。
舞台はニューヨーク。弁護士エディー・フリンは、朝食に立ち寄った店のトイレ内で、前触れなく背中に銃を突き付けられた。瞬時に体が反応する。背後に立つ男の脅し文句と所作から、即座に相手の素性と特徴を推察。銃の男が右利きであることを見取り、左側の隙から反撃する手順を脳内で辿る。一介の弁護士としては並外れた挙動。だが、もう過去の自分ではないと自戒し、冷徹に情況を見極める。僅か冒頭1ページ。主人公の現在と過去を明快に伝える見事な描写だ。
店から連れ出された弁護士は、小型爆弾を装着され、超高級車に放り込まれる。車内で待っていたのは、悪名高いロシアン・マフィアのボス、ヴォルチェックと手下だった。フリンの幼い娘を人質に取ったと告げ、その日から始まる裁判の弁護を強制する。用心棒が、鞄の中から黒い塊を取り出す。それは、ヴォルチェックの弁護士で、フリンの元相棒の首だった。
己の誤算/判断ミスによって惨たらしい結末に至った或る事件を切っ掛けに、仕事から離れ、酒に溺れ、妻にも愛想を尽かされ、やさぐれていった男。だが、一秒たりとも悔恨に浸る暇は無かった。愛する娘を再び抱き締めるために、過酷で壮絶極まりない長い一日が始まる。
原題は「ディフェンス」。恐らく、攻撃に対する防御と、法的な弁護という重層的な含みを持たせているのだろう。危険な情況を的確に掴み、僅かな逃げ道を見付け、敵の盲点を突き、策略を逆手に取り、機を見て反撃に移る。ギャングの親玉を救わなければ、娘の命は無い。最も愛する者を助けるために、最も憎む者に手を貸さねばならない。この地獄のジレンマに揺れる心理描写が巧い。
ヴォルチェックは、裏切り者を消すために命じた証拠を掴まれて逮捕されたが、多額の保釈金を積んで釈放されていた。間もなく、不可解にも自白した殺し屋が証人として出廷する。朝、弁護士が身に付けた爆弾は、セキュリティを潜り抜け、殺し屋の口を封じるための道具だった。裁判の展開次第で大きく流れは変わる。その時が来るまでに、娘を救出し、ヴォルチェックに鉄槌を下さねばならない。
間違いなく有罪判決が下る鬼畜を、どのようにして弁護するか。守りつつ、攻めるか。フリンは法廷に立つ一方で、裁判所内で培った人脈を利用して娘の行方を捜す。その過程で徐々に弁護士自身の足跡が明らかとなっていく。つまりは、序章で片鱗を示した只者ではない主人公の実体だ。
フリンは、決して真っ当な路を歩んできた男ではなかった。恩師となる裁判官に出会う以前は、親譲りの卓越したスリ師であり、保険金詐欺で荒稼ぎしていた犯罪者だった。父親を失った原因が保険会社と結託した弁護士にあり、その復讐を兼ねていたのだが、結局はアウトローに成り果てたに過ぎなかった。だが、長年にわたって作り上げていた闇社会との太いパイプが、その日に役立つこととなる。マフィアに対抗するにはマフィア。それも、闇社会での情報力に長け、容赦無き暴力を行使する者ども。フリンは躊躇うことなく、その悪の力を借りる。この痛快な逆転劇から、物語はさらに勢いを増して疾走していく。
法廷戦術では強引さが目立つが、破綻する間際で食い止め、読者を鷲掴みにしたまま、終始引っ張り回す。予測を裏切り、二転三転するプロット。とにかく主人公の冴え渡る瞬発力には瞠目するのだが、迸るエネルギーは決して不快ではない。終盤では、ハリウッド映画張りの活劇シーンを用意し、疾風怒濤の物語は最高潮を迎えて終焉する。
本作の実態は、タフな男の私闘/共闘を主軸としたヒーロー小説で、リー・チャイルドのリーチャーシリーズを彷彿とさせる。北アイルランド・ベルファスト出身という作家のバックボーンも、熱気を帯びた世界に繋がっているのかもしれない。続編に大いに期待だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2026年の22冊目は、スティーヴ・キャヴァナーの「キル・フォー・ミー キル・フォー・ユー」です。
スティーヴ・キャヴァナーを初めて読みましたが、賞をいくつも受賞したり、ノミネートされるのも頷けます。
単純な交換殺人の話かと思ったら、話が次々と展開し、一筋縄では行きません。時間軸では、見事に錯覚させられました。ディーヴァー同等の捻りとドンデン返しが有ります。しかも、善100%に振り切っていない所が、これ又、良いです。
ラストでアマンダが、夜のビーチでジェスのスパークルズを燃やすシーンが堪らなく良いです。
愛する人を理不尽にも失った人の物語です。
☆4.8他の作品の翻訳をぜひとも望みます。 -
Posted by ブクログ
スティーヴ・キャヴァナー『キル・フォーミー キル・フォー・ユー』小学館文庫。
初読み作家。ジェフリー・ディーヴァー以外にツイストの魔術師が居たとは全く知らなんだ。
1つ1つのセンテンスが短く、小説としては非常に味気無いが、ストーリーは非常に面白く、スリリングである。特に中盤からの大展開には驚かされる。前半と後半とで全くテイストが異なり、読み終えてみると、まさかのサイコサスペンス小説だったことに気付かされるのだ。
舞台はニューヨーク。夫と近所の公園に外出した6歳の娘が、夫が目を離した僅かな隙に何者かに連れ去られた上に殺害され、その責任を感じた夫も1週間後に自殺を果たすという悲劇に見舞われたアマンダ・ホワイトは警察の捜査で浮かび上がった被疑者ウォレス・クローンに復讐しようとしていた。被疑者のクローンは証拠不十分で無実となり、密かに付きまとうアマンダに対して裁判所はクローンへの接近禁止命令を下していた。
接近禁止命令に違反したアマンダに対して裁判所は保護観察とグループ・セラピーへの参加を課す。アマンダは裁判所の命令に仕方無く従い、グループ・セラピーに通い始めると、そこで自分と同様に娘を殺害された母親のナオミ・コットンと知り合う。ナオミの15歳の娘のレベッカはフランク・クウィンにレイプされ、首を絞められ、殺害されたのだが、証拠不十分で釈放されていたのだ。
互いに同じ境遇で、復讐の機会を伺っていることを知ったアマンダはナオミに互いの復讐の相手に対する交換殺人を持ち掛ける。
一方で、弁護士の夫のスコットと何の不自由も無い幸せな結婚生活を送っていたルース・ゲルマンは、スコットの外出中に、家に侵入した青い眼の男に襲われ、全身を17ヶ所も斬りつけられ、瀕死の重傷を負う。ルースが辛うじて生命を取り留めたのは、近所の家に救急車が来たことに驚いた犯人が留めを刺せずに逃走したためだった。
事件のショックから犯人に襲われた家にも戻れず、ホテルの部屋に閉じこもったままのルースをスコットがレストランでのディナーに連れ出す。しかし、その店内にはルースを襲った青い眼の男がステーキを食べながら、ルースを見つめていた。
この後、娘を奪われたアマンダとナオミ、青い眼の男に襲われたルースとその夫のスコットがどう関わっていくのか。中盤の急展開からストーリーは大きなうねりを見せ、読者を全く別な世界へと誘う。
本体価格1,210円
★★★★ -
Posted by ブクログ
ネタバレ詐欺師の過去を持つ元敏腕弁護士エディーがロシアンマフィアに娘を人質に取られ法廷内に爆弾を持ち込む役を押し付けられる。
マフィアのボスはこれから始まる裁判の原告で、そこで証言をしようとしている内情を知る証人を爆破しようとしているのだ。
いきなりフルスピードで始まるスリリングな展開。
なんとか第一幕をしのぎきり、機を見て反撃に出ようとする最中にぼんやりと浮かび上がってくる不自然な状況。
何か裏がありそうだが、いまいち捕まえきれず、もんもんとしながらも状況を打破しようとするエディ。
非常に引き込まれる語りだったのだが、もったいぶって引っ張った割にありがちな結末で、それはがっかり。 -
Posted by ブクログ
法廷を舞台にしたリーガル・アクション。エンタメ全開です。
効率の良い一行目から作中に引き込み、どんどん展開する。主人公は落ち目の弁護士。緊迫する監視下の元、かつての稼業であるスリや詐欺の手練を発揮して、土壇場で難関を通過。さらに陰謀の中枢へと、一歩一歩迫っていく。そこに法廷シーンが加わり、あれよあれよと読めてしまった。
アクションとリーガルのバランスがよく、それをさらりとエンタメでコーティングしてある。筆致は平凡だが嫌味がなく、謎解きの面白さも味わえる。でもちょっと長いかな。シリーズになるとのことで、主人公の背景についての記述が多い。キャラも微妙に淡白で、全体的にB級っぽいけど、面白いシリーズになりそうな期待感はあるので、もう少し贅肉を落としてくれると有難い。でも作者の色んなアイデアは新鮮で楽しかった。