トマス・フラナガンのレビュー一覧
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ノン・シリーズも異色短編として悪くはないが、水準作(「玉を懐いて罪あり」を除く)。やはり読みどころはテナント少佐シリーズ。フランコ独裁政権下のスペインをイメージした架空の共和国で、かつては反将軍派でありながら、今はその将軍に仕えなければならないテナント少佐の、面従腹背を地で行く苦闘が描かれる。テナントの闘いは単に謎を解いて、犯人を捕まえれば良いと言うものではない。ときにおぞましいとも思える命令に従いながら、自らの矜持や正義を守り抜くためのパズルを、テナントは解かねばならないのだ。
実は数十年ぶりの再読なのだけれど、びっくりするくらい覚えてましたね。これは傑作。 -
Posted by ブクログ
アメリカの作家トマス・フラナガンの短篇ミステリ作品集『アデスタを吹く冷たい風(原題:The Cold Winds of Adesta)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。
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復刊希望アンケートで二度〈第1位〉を獲得!
風が吹き荒れる中、闇を裂いてトラックがやってきた。商人が運ぶのは葡萄酒か密輸銃か?
職業軍人にして警察官のテナント少佐は強制的に調べるが確証を得られず、トラックは通過してゆく。
謹厳実直の士、テナントが起こした行動とは?
「復刊希望アンケート」で二度No1に輝いた七篇収録の名短篇集、初文庫化。
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Posted by ブクログ
7編収録の短編集。
前半の4編は軍人のテナント少佐が活躍する
短編。架空の国が舞台で将軍の圧政や革命など
ところどころ不穏なその国の空気が描かれている
のが上手いです。
またテナント少佐の軍隊の権力や派閥に縛られず、
自分の正義と思考に愚直に行動する姿がとても男前
です。
テナント少佐ものがこの短編だけなのが残念…
この国の政治をもっと掘り下げた長編があったら
間違いなく名作になりそうな予感がします。
他3編は歴史ミステリにブラックユーモア、奇妙
な雰囲気のものとバリエーションが豊か。特に自分
が好きだったのは、
被告の無罪を勝ち取った弁護士がその友人の
大学教授に被告