柘植光彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あとがきを見ると、「村上春樹の案内書はけっこう多いのだが、どれを見ても、作品を中心に論じたものばかりで、作家についてくわしく書いてあるものがない。そこで、作家と作品の、両方がわかるような案内書を作ってみようと思った。」と書いてある。いくつかの作品を詳しく分析、解説しているような本を期待して買った人は、少しばかりあてが外れたかも知れない。
しかし、だからと言って、この本が面白くないということでは決してない。村上春樹氏の作品が好きな方であれば、早い時期に一度は目を通しておいた方がよい案内書であることは間違いない。ぜひご一読をお薦めしたい。
例えば、p.200では、村上氏の作品によく出てくる「あちら側」が、氏の様々な作品でどのように扱われているか、一覧になっている。こうした共通点を整理することで、それぞれの作品の解釈にも繋がるだろうし、村上氏の作品に対する考え方、思想のようなものが見えてくるかも知れない。
また、おとぎ話との比較も面白い。おとぎ話はどちらかと言えば子ども向けだが、村上氏の作品は当然大人向けで、そこに共通するものがあるという指摘は、言われてみればなるほどとなる。
それにしても、これほどの人気作家で多くの人に読まれているにもかかわらず、その評価や読み取りが人それぞればらばらな作家も珍しいのではないか。何でも理屈で解釈すれば済むという話ではないが、もう少し各作品を分析して、その解釈を一般の読者にも教えていただきたい。どなたか、よろしくお願いします。