こずかた治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
南九州一を自称するディスカウントショップ阿古商店のオーナー阿古義男という男が阿古商店の折込チラシを作る広告大理店・アドプランとその経営者の徳倉真一を破滅させる話です。手口がえげつないです。
この小説を先日読み終えました。いやはや、非常にどろどろしておりまして、何度か途中で読むのをやめようとさえ、思ったほどです。この話しはなんて言うのか、ある地方のなりあがりものが自分の気に食わない出入りの人間をあの手この手で倒産に追い込むというものです。そのやり方があまりにもえげつないと言うことと、この作者お得意の手形を機軸とした生々しい経済の話が真に迫っていて、『これがおそらく現実なんだろうな』と思ってしまいました。
主人公の阿古義男と潰される側の徳倉真一。そして、都会と田舎。その両者には容赦なく深い溝があって、その埋めがたいほど深い溝が全てを引き裂いていくラストが僕の心に重い読後感を残してくれました。そして、この本のあとがきに、地方と都会の違いと田舎の人間のことについて言及されておりますが、作者の主張に僕も激しく同意します。
でも、あんまりこういうことを具体的に書き立てると、ただでさえ田舎で総スカンを食っているのにまたさらに村八分になってしまうので、あんまり詳しいことは書きませんけれどおおむね正しいと確信を持ってそういうことができます。 -
Posted by ブクログ
森川俊。背に不動明王を彫り、作務衣に身を包む。過去は知れない。そんな彼の元に海千山千たちのつわものたちが集まって…。僕はこの人の本でずいぶんと「経済」というものの本質を学んだような気がします。
これは恐ろしい小説ですよ。この人の小説が「仕手相場」以外復刊されない理由がなんとなくわかるような気がします。主人公の森川俊の描く手口というのがなんとも手の込んだもので、読んでいてただただ唖然とするばかりでした。ここまで考え抜いて何年も時間をかけて罠を仕掛けられてはどんな人間もたまったものじゃないな、という思いで、背筋が寒くなりました。ここに書かれている芸能プロダクションの社長には、ただただ同情するしかなかったですね。
この小説は経済小説なんで、書類のやり取りや書類の作成文書も手が込んでいます。ですので実際に経済というものがどう動いているかということを知るためには格好のテキストです。ただ、再販されないのが惜しい話ではあるんですがね。
ここに書かれている人間は、日の目を見ることはありませんが、必ずこういう人物がいるということを念頭において日常を送ると送らないのでは、やはり所作に違いが出るのではないか?そんなとりとめもないことを考えている自分がいます。 -
Posted by ブクログ
裏切りにつぐ裏切り。乱れ飛ぶ巨額の現金。うごめく魑魅魍魎たちの群れ。自分もかつてこの業界に身をおいていたのかと思うと、ぞっとするような内容です。
今、続編が手に入ったので読んでいるのですが、読んでいてものすごくイヤな気分になったことを覚えています。それは、自分がかつていた世界がここまでエゲツないところであることと、内容が現在読んでいても、まったく古びていないことだった。それは、業界の体質がそのままだということを意味している。僕はここに描かれているようなことはさすがに体験していないが、ある人に言わせると、
『人をだますノウハウを一番蓄積しているのがこの業界だよ』
とのこと。
足を洗ってよかったと、今では本当に思う。要は人を騙す才能がなかったということである。それはさておいて、内容をかいつまんで言うと、舞台は病に倒れ、一敗地にまみれた『コブラの星正』といわれた相場師星田正が手放した大桑商事。その雪辱を晴らすために四人の相場師が呼ばれ、関西の生糸・乾繭相場を戦場に巨額の仕手戦が繰り広げられますが、昨日の敵は今日の味方。今日の味方は明日の敵。
という内容で、読んでいて訳がわからなくなりましたが、相場を吊り上げるために巨額の費用がこれでもかといわんばかりに乱れ飛ぶ描写が戦慄を覚えるほどです。経済の知識がないと面白さは半減しますが、それを堪えて最後まで読み続けると、突き抜けた面白さがある小説です。