【感想・ネタバレ】裏金市場のレビュー

あらすじ

「この寺はなにがなんでも手に入れろ。多少なら、あらっぽいことも見逃す。これが手に入れば濡手に粟の事業ができる。」森川俊は集めた5人のブレーンに作戦の開始を告げた。狙いをつけたのは駒が峰の麓・願成寺。大日円光仏教の教祖である森川は宗教団体として欠かせない拝殿を手に入れる必要があったのだ――。豊富な知識をもとにいくつもの緻密な罠を張り巡らせ、森川たちの作戦が動き出した。

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Posted by ブクログ

森川俊。背に不動明王を彫り、作務衣に身を包む。過去は知れない。そんな彼の元に海千山千たちのつわものたちが集まって…。僕はこの人の本でずいぶんと「経済」というものの本質を学んだような気がします。

これは恐ろしい小説ですよ。この人の小説が「仕手相場」以外復刊されない理由がなんとなくわかるような気がします。主人公の森川俊の描く手口というのがなんとも手の込んだもので、読んでいてただただ唖然とするばかりでした。ここまで考え抜いて何年も時間をかけて罠を仕掛けられてはどんな人間もたまったものじゃないな、という思いで、背筋が寒くなりました。ここに書かれている芸能プロダクションの社長には、ただただ同情するしかなかったですね。

この小説は経済小説なんで、書類のやり取りや書類の作成文書も手が込んでいます。ですので実際に経済というものがどう動いているかということを知るためには格好のテキストです。ただ、再販されないのが惜しい話ではあるんですがね。

ここに書かれている人間は、日の目を見ることはありませんが、必ずこういう人物がいるということを念頭において日常を送ると送らないのでは、やはり所作に違いが出るのではないか?そんなとりとめもないことを考えている自分がいます。

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2015年05月23日

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