エズラ・F・ヴォーゲルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
直近に読んだニクソンの「指導者とは」での周恩来、そして今回の鄧小平を読み感じたことは、
毛沢東-周恩来-鄧小平の関係は、
織田信長-豊臣秀吉-徳川家康の関係と対比して考えられるのではないか、ということである。
ざっくりと、毛沢東と織田信長は既存の秩序に対抗し、勢力を拡大して天下を取る強いリーダー。
一方で、周恩来、鄧小平、豊臣秀吉、徳川家康はより実務家としての能力に長けた存在。
周恩来は毛沢東のもとで、豊臣秀吉は織田信長の元で力を認められ出世し、トップまで登り詰めている。
一方、鄧小平と徳川家康は毛沢東、織田信長に力を認められ評価されながらも、完全に服従はせず、自分を脅かすのでないかと恐れら -
Posted by ブクログ
中国の社会のありようはもちろん日本それ自体のそれとは全く異なる。しかしよく考えてみると、日本の中に中国と良く似た組織はいくらでも見つかることに気づく。代替わりのたびに先代トップの息のかかった者たちが失脚する会社、着任して最初にまず前任のやり方を否定してかかる部長…。そんな軋轢必至の状況で大いに参考にすべきなのは、本書で描かれている鄧小平のクレバーさではないかと思う。
確かに本書で言及されているように、鄧小平は実務に長けてはいたが決してクリエイティブな人物ではなかったようだ。しかしカリスマに富んだ「先代」毛沢東の股肱の臣の忌諱に触れることなく実質的にその手法を否定し、一方で自らの信念を曲げるこ -
Posted by ブクログ
エズラ・F・フォーゲルはハーバード大学に籍を置いていた中国研究・日本研究の社会学者。「現代中国の父・鄧小平」の中国語版は100万部を超えて売上げられている。その内容をかいつまんだのが本書。
鄧小平は実務で実績を残し毛沢東の信頼を得た。権力闘争の過程で途中数度の失脚を味わうも能力を評価され、一時を経るとまた中央に戻される。
毛沢東が死去した後、文化大革命と決別し今の中国の発展の礎となる70年代後半から始まる改革開放をリードする。これは毛沢東の政策の否定とも言える。改革開放のひずみで不満を抱えた学生が蜂起したのが天安門事件。これを強制的に封じ込める。その後はそのような反発が中国では起きてない。
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