エズラ・F・ヴォーゲルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
直近に読んだニクソンの「指導者とは」での周恩来、そして今回の鄧小平を読み感じたことは、
毛沢東-周恩来-鄧小平の関係は、
織田信長-豊臣秀吉-徳川家康の関係と対比して考えられるのではないか、ということである。
ざっくりと、毛沢東と織田信長は既存の秩序に対抗し、勢力を拡大して天下を取る強いリーダー。
一方で、周恩来、鄧小平、豊臣秀吉、徳川家康はより実務家としての能力に長けた存在。
周恩来は毛沢東のもとで、豊臣秀吉は織田信長の元で力を認められ出世し、トップまで登り詰めている。
一方、鄧小平と徳川家康は毛沢東、織田信長に力を認められ評価されながらも、完全に服従はせず、自分を脅かすのでないかと恐れられる存在である。
もちろん、3者の性格や関係性、歴史上の役割は共通点よりも異なる点の方が多いだろう。
例えば、周恩来は毛沢東よりも先に死んでおり、真の最高権力者になったわけではないし、鄧小平と徳川家康にしても、一方は改革開放を進め、一方は鎖国を進めている。
そもそも、共産党というイデオロギー支配と、戦国時代の支配は、組織も根拠も異なっている。
しかし、それでもこのように歴史を比較し、共通点、相違点を考えることは有意義であると考える。
自分自身の頭の整理にもなるし、それぞれの時代に必要なリーダーとしての素質、そして凋落の原因などを考えることにつながる。
いずれにせよ両者についてまだまだ理解が不足しているので、鄧小平の本編に是非挑戦するとともに、日本の戦国時代についてと改めて読み直したいと感じた。 -
Posted by ブクログ
中国の社会のありようはもちろん日本それ自体のそれとは全く異なる。しかしよく考えてみると、日本の中に中国と良く似た組織はいくらでも見つかることに気づく。代替わりのたびに先代トップの息のかかった者たちが失脚する会社、着任して最初にまず前任のやり方を否定してかかる部長…。そんな軋轢必至の状況で大いに参考にすべきなのは、本書で描かれている鄧小平のクレバーさではないかと思う。
確かに本書で言及されているように、鄧小平は実務に長けてはいたが決してクリエイティブな人物ではなかったようだ。しかしカリスマに富んだ「先代」毛沢東の股肱の臣の忌諱に触れることなく実質的にその手法を否定し、一方で自らの信念を曲げることもせずにその後の中国の比肩なき経済発展の道を開くことができたのは、ひとえに彼の柔軟さ、悪く言えば(特にイデオロギー的なものに関する)節操の無さによるところが大きかったのだろう。僕がクレバーだと思うのはまさにこの点で、イデオロギーに拘る余り失脚する(だけならまだしも人民を道連れにする)頑迷な指導者というのは枚挙に暇がないのだ。
本書は対談形式で進む。ちょっとあっさりしすぎの観はあるが、新書らしく気軽に近現代の中国の歴史を短時間でおさらいできるのが何より良。 -
Posted by ブクログ
エズラ・F・フォーゲルはハーバード大学に籍を置いていた中国研究・日本研究の社会学者。「現代中国の父・鄧小平」の中国語版は100万部を超えて売上げられている。その内容をかいつまんだのが本書。
鄧小平は実務で実績を残し毛沢東の信頼を得た。権力闘争の過程で途中数度の失脚を味わうも能力を評価され、一時を経るとまた中央に戻される。
毛沢東が死去した後、文化大革命と決別し今の中国の発展の礎となる70年代後半から始まる改革開放をリードする。これは毛沢東の政策の否定とも言える。改革開放のひずみで不満を抱えた学生が蜂起したのが天安門事件。これを強制的に封じ込める。その後はそのような反発が中国では起きてない。
四文字熟語で表すと虎視眈々が似合う人物のような気がする。