ゾラのレビュー一覧

  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

    Posted by ブクログ

    19世紀のフランスを代表する作家のひとりエミール・ゾラの短編集です

    ゾラといえば『居酒屋』『ナナ』などの長編が有名なんですが、光文社古典新訳文庫にはないのです
    ないのだからしょうがない
    しょうがない読みましたが、これが面白い
    うん、ゾラ面白いわ

    よく音楽の世界では「耳に心地よいメロディーはクラシック音楽で出尽くしている」なんてことを言われたりして、まぁこういった風説には賛否あるでしょう

    自分としてはそんな訳あるかいな!現在も素晴らしい才能によって新しいものが生み出され続けているわ!と思うのですが、一方で「出尽くした」とは思わないまでも、かなりの部分がクラシックに覆われているのも認めなけれ

    0
    2024年12月06日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

    Posted by ブクログ

    傑作。どれも面白いが最後の「スルディス夫人」がいい。売れてないが才能ある画家がいて、絵の具屋の娘が目を付ける。彼の美貌と才能に惹かれて遺産を援助し結婚して生活する。話の筋としてはよくある事なんだが、これでもかこれでもかと作者が描写する表現が、惹き付け惹き付け。
    1ヶ月前に同じ作者の文庫を読んで、それを忘れている位に前回は印象に残らなかった。同じタイトル名がありそのことに気付いた。訳者出版社によってここまで印象が変わるとは、言語とは、このように扱いによって大きく変化する繊細な物なんだな。

    0
    2019年02月08日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

    Posted by ブクログ

    困を生きる人の日常を生々しく描きだしている。「オリヴィエベカイユの死」では、墓を釘打ち土葬されてもなお生き返り、生き返った事に需要がなかったことに打ち萎れ気まずい思いをする主人公、ないようでありそうな話でかわいそうだがシュールな面白みを誘う。自然主義の概念として考えるに、この貧困の生々しさとシュールさが主な部分を占めるのではと個人的に見解した。

    0
    2025年11月22日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

    Posted by ブクログ

    「オリヴィエ・ベカイユの死」
    オリヴィエ・ベカイユは貧しい家の娘マルグリットに結婚を申し込む。本人は乗り気じゃなかったが娘を厄介払い出来る両親は承諾。彼女もその現実を受け入れた。田舎の生活に嫌気が指していた妻の気持を察し、二人はパリに仕事を見つけ出て来た。しかしパリに到着してすぐにオリヴィエは病気になり、体が硬直して声も出せなくなる。周りの人間は彼が死んだと思って葬式の準備を進める。気落ちした妻を同じアパートに住む青年が慰めたり、オリヴィエは気が気でない。そして意識があるまま彼は墓に埋められてしまう。

    「ナンタス」
    田舎からパリに出てきた有望な青年ナンタスはなかなか仕事が見つからず困窮の果て

    0
    2024年06月27日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

    Posted by ブクログ

    「オリヴィエ・ベカイユの死」がポーの「早すぎた埋葬」と似ているのは偶然なのだろうが、同時期に西洋では「生きたまま埋葬されるかもしれない」という恐怖が共通認識として広まっていたというのは興味深いことだ。

    0
    2022年11月01日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

    Posted by ブクログ

    一番読み応えのあったのは、「スルディス夫人」次が、「ナンタス」、そして「オリヴィエ・ベカイユの死」「呪われた家ーアンジェリーヌ」「シャーブル氏の貝」

    物語にグイグイひきこんでかれる感じがする。時代性を感じさせないものの不自然さや読みにくさがない、まるで19世紀のフランスにこちらがタイムスリップした感覚にさせられる。違う作品も読んでみたい。

    「オリヴィエ・ベカイユの死」

    普通なら嫉妬にたぎり元の妻。追いかけ回すか、悲観に苛まれもう一度死のうとするかやけど、彼女の愛する人ではなかったと達観し、優しくもなり、名もなきひととしていろんなところへ旅するという、なんと爽やかな終わり方やねん!

    0
    2021年03月08日
  • オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~

    Posted by ブクログ

    19世紀フランスの作家ゾラ(1840-1902)の短篇集。第二帝政期以降に本格的に立ち現れたブルジョア社会における、人々の生活や欲望を描いている。



    「オリヴィエ・べカイユの死」(1879年)

    意識はありながらも、肉体的には自らの意志で動くことができず、周囲からも死んだものとして扱われ埋葬されていく男の視点を通して、「死とは何か=生とは何か」を考えさせられる。読みながらすぐにポー『早すぎた埋葬』を想起したが、解説によるとバルザックやゴーチエにも同主題の作品があるという。本作の主人公やゾラ自身が取り憑かれていた死への強迫観念というものは程度の差はあれ多くの人間がもっているのだろうが、「仮

    0
    2019年04月07日