株価が高いと景気が良いと思ったが、生活は苦しい。このギャップは何故?を説明した本。
近年の株高は、企業の収益力(PER等)が素直に反映されただけの妥当な水準とのこと。収益力の改善はインフレにより、生産性が変わらなくても売上金額が増えたことに起因。
近年は賃金も上がっているが、商品価格の増加より上げ幅が少ないため、生活は苦しく感じるようになった。
インフレのキッカケは、ロシア問題によるエネルギー価格増の影響を、コロナ対応で体力が低下した企業が商品価格に転換したこと。構造的には、労働人口不足で物やサービスの価値が上がったことが原因。現在起きているインフレは構造的影響が強いため、一過性ではなく今後も続くと見るべき。
インフレがある世界では現預金の価値が下がり続ける。これに対応するには貯金をインフレ耐性のある資産である株式に変えること。
資産に占める株式の比率は、米国が4割、欧州が3割、日本が15%。日本は永らく物価が安定しておりインフレ対策が不要だったため、これまでは資産は現金で良かった。
為替(足元の円安)は、投機要因として低金利の影響がある。一方で実需影響として、貿易赤字(エネルギー購入)とデジタル赤字(GAFAM)でのドル買い・円売りに対し、来日観光黒字でのドル売り・円買いが負けていることも一因。
(感想)
金利は、国債の利払負担増を避けるためにもきっと上がらないだろう。
為替は、米国の利下げと原発再稼働が争点だろうが、現在の1ドル150円に対して大幅な円高には動きにくいかもしれない。
インフレは今後も続くと想定すべきだろう。足元で労働参加が増えて労働力を支えている女性と高齢者が入りにくい領域からインフレが加速しそう。
以上を踏まえ、手持ちの資産構成を見直すべきと思った。今の株価や為替が妥当であるなら、株価下落を待たずに株を買い進めても良いかもしれない。株式にすべき資産の比率は、GPIFが参考になると思った。
※GPIF は株式比率5割で目標収益5%弱。物価上昇2%と期待収益3%。