あらすじ
コロナ収束以降、日経平均株価は3~4万円台と高値をキープし、一時、バブル期に記録した最高値も更新した。2025年になってトランプ関税に振り回されつつも、しっかり持ち直してもいる。その一方で、足元の物価高もあって、庶民の生活は厳しいまま。なぜ、株価は好調なのに庶民はその恩恵を感じられないのか。国民全体が好景気に沸いたバブル期と何かが違うのか。現在の「株高不況」の真因と、生活者ができるその対応策を、気鋭のエコノミストが鋭く、かつ、わかりやすく解説する。
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Posted by ブクログ
株価が高いと景気が良いと思ったが、生活は苦しい。このギャップは何故?を説明した本。
近年の株高は、企業の収益力(PER等)が素直に反映されただけの妥当な水準とのこと。収益力の改善はインフレにより、生産性が変わらなくても売上金額が増えたことに起因。
近年は賃金も上がっているが、商品価格の増加より上げ幅が少ないため、生活は苦しく感じるようになった。
インフレのキッカケは、ロシア問題によるエネルギー価格増の影響を、コロナ対応で体力が低下した企業が商品価格に転換したこと。構造的には、労働人口不足で物やサービスの価値が上がったことが原因。現在起きているインフレは構造的影響が強いため、一過性ではなく今後も続くと見るべき。
インフレがある世界では現預金の価値が下がり続ける。これに対応するには貯金をインフレ耐性のある資産である株式に変えること。
資産に占める株式の比率は、米国が4割、欧州が3割、日本が15%。日本は永らく物価が安定しておりインフレ対策が不要だったため、これまでは資産は現金で良かった。
為替(足元の円安)は、投機要因として低金利の影響がある。一方で実需影響として、貿易赤字(エネルギー購入)とデジタル赤字(GAFAM)でのドル買い・円売りに対し、来日観光黒字でのドル売り・円買いが負けていることも一因。
(感想)
金利は、国債の利払負担増を避けるためにもきっと上がらないだろう。
為替は、米国の利下げと原発再稼働が争点だろうが、現在の1ドル150円に対して大幅な円高には動きにくいかもしれない。
インフレは今後も続くと想定すべきだろう。足元で労働参加が増えて労働力を支えている女性と高齢者が入りにくい領域からインフレが加速しそう。
以上を踏まえ、手持ちの資産構成を見直すべきと思った。今の株価や為替が妥当であるなら、株価下落を待たずに株を買い進めても良いかもしれない。株式にすべき資産の比率は、GPIFが参考になると思った。
※GPIF は株式比率5割で目標収益5%弱。物価上昇2%と期待収益3%。
Posted by ブクログ
現在の株高とインフレと賃上げ状況が不一致のような気がしていたが、それについて、統計グラフと丁寧な説明で大変理解し易かった。
モーサテなど、テレビ東京の番組でもよく拝見していて是非本を読みたいと思って読んだのがきっかけだった。
これからも、藤代さんがテレビに出られている時は、解説を必死に聞きたいと思います。
Posted by ブクログ
とてもわかり易く、最近のトレンドも絡めているので勉強になった。どこかで読んだ感想だが、専門的っぽい言葉には、しっかりと説明が添えられているので辞書代わりにも良い
Posted by ブクログ
指標などがコンパクトにまとめられており、私自身まだ不勉強な点もあるが、こういう視点で見ていけばいいのかと非常に勉強になった。今の日本市場を的確に表現していると思う。日経平均が5万円を超え、こういった本は読む時期を逸すると古新聞になってしまうので、このタイミングで読めてよかった。
Posted by ブクログ
詳細なマクロ経済を基に、現在の日本のインフレ状況の原因を解説し、更に、それに対する対抗策として、株式投資を推薦する内容となっていました。
著者としては、読者向けにかなり平易な表現をしていただいたんだと思いますが、一部、私の理解力不足で、用語の解説部分で理解が追い付かない箇所がありました。
ですが、全体としてコンパクトに現在の日本経済の状況を理解でき、好感が持てました。
株式投資を継続する、後押しをしてもらった感じもしますね。