マニアックな作品だな、これは。
他の漫画読みさんが、この『今日、駅で見た可愛い女の子。』をキワモノな作品、と紹介していたとしても、否定はしづらいトコは確かにある。
ただ、それだけに、刺してくる力は、結構あるな、と感じた。恐らく、他の漫画読みさんも、ここに同意してくれるんじゃないだろうか。
とある一部だけに狙いを定め、一点集中の一撃を繰り出し、攻撃に成功しているさかな先生は、間違いなく、良いセンスをしている、と私は言いたい。
どんな内容なのか、これを説明するのが難しいのも、良い作品である証拠じゃなかろうか。でも、それじゃ、未読の方に読んで貰うための紹介文にゃならないので、どうにか、説明したい。
まぁ、あえて、ざっくりとした分類をするのであれば、日常コメディだろう。
基本的に、表紙を飾っているキャラ二人が、ストーリーの中心になっていて、駅や電車の中が話の舞台になっている。
毎日の激務に追われ、目から生気が失われ、何のために働いているのか、何のために生きているのか、と自問自答するまで心が荒みながらも、何だかんだで、仕事に愛着があるものだから辞職するまでは到らない、それなりに年齢がいっているサラリーマンが、駅で見かけたヒロインの装飾品や化粧に対して、無表情の下で激しいリアクションをし、今日は頑張ろう、と元気を取り戻す、そんな感じだ・・・・・・どんな感じだ?
実際問題、かわいい、は性別や年齢に関係なく、影響を与えるものだ、と私は言いたい。女の子にしか通用しなかったら、それは、本当の「かわいい」ではない。むしろ、可愛いもの好きを隠しているオジさんに刺さってこそ、本物だろう。
作中で、ヒロインが持っているアイテムが実在のもので、それに対するおじさんの知識披露が、相当にハイセンスってのも、お勧めポイント。ほんと、この作品は、このおじさんのようなタイプ、仕事で疲れていて「かわいい」に癒しを求めている人にこそ読んで欲しい作品だな。
しかし、この『今日、駅で見た可愛い女の子。』、最大の魅力は、タイトル詐欺なとこなんだろうな・・・いや、してやられたわ。
この台詞を引用に選んだのは、大事だよな、こういう考え方は、と素直に思えたので。
他人からしたら、ほんの小さい事、アホらしい事なのかもしれないけど、本人にとっちゃ、結構、大事な事って多い。
そういう、自分を元気にするための、小さな努力を欠かさない人は、キラキラしているもんだ。
そんなキラキラしている人を妬むのではなく、カッコいい、と尊敬できて、賞賛できる人間に、私はなっていきたい。
私にとって、テンションを上げてくれる、これを頑張ろう、と思える「かわいい」は何か、と考えてみると、懸賞ハガキのデコかな。
「たしかに、今日だけだけど・・・爪が可愛い、とテンション上がるじゃん」(by七海ひかる)