小泉英明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『脳の科学史』と題されたこの本は、フロイトの意識・無意識の話から始められる。著者は、フロイトがもともと神経系の研究を行っていたとし、彼が思弁により精神分析を考え付いたのではなく、おそらくは神経系の知識の基盤があった上で無意識などの理論を構築していったのではないかと論じる。現在意識は、覚醒(arousal)、注意を向けている(awareness)、自己意識(self-consciousness)の三段階の階層があるとされ、さらには意識下の活動が広がっているというように捉えられている。フロイトのこの洞察から始まった意識と無意識の活動を実証的に明らかにしていくというのが、「脳の科学史」だと捉えること