山中恒のレビュー一覧
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▼大昔に観た映画「転校生」の原作、という認識でした。「転校生」は大林宜彦監督、尾美としのりさん、小林聡美さん主演で、尾道で撮られた素敵な映画でした。一九八三年作品でしょうかね。
▼映画と違って、原作は小学6年生が主人公。腕白男子と元気な女子が、ひょんなことから入れ替わってしまう。びっくりで、仰天で、えらいこっちゃ。
▼男子の一人称で語られる。性格がざっくりしているので、あまり暗くはならないのですが、さすがに長期戦になるとめげてくる。最終的にはまたひょんなことでもとにもどれて、どっとはらい。
▼この騒動をめぐって、物凄く乱雑なレベルで根源的なジェンダーの問題が触れられるのがちょっと面白い。 -
Posted by ブクログ
昭和44年の作品ということだったが、展開が始まってからは(最初の主人公がどういう少年かというくだりがやや長い)どんどん話が繰り出されていき、面白く読めた。ただ、女は家事、男は稼ぎみたいな昔のテンプレート的な設定や会話は多く、そのあたりを今の子がどう受け止めるかは不明。
五人兄弟(!)の下から二番目、小六の秀一は名前はりっぱだが、成績などイマイチ振るわず、兄弟姉妹の中でいつも駄目だと母親に言われ続けている。他の兄弟は皆、良くできる。
あまりにも怒られるので、夏休みに家出を試みる秀一。もちろん計画性もなにもない(アホなので)。このへんまでは読んでいてもあまり楽しくない。
しかし、飛び乗ったトラック -
Posted by ブクログ
夏休みのある日、小学校六年生の秀一が突然家出をした。その波紋は、静かに深く広がって激しく家庭をゆさぶった。家出先で出くわしたさまざまな出来事−−−ひきにげ殺人事件の目撃、武田信玄の隠し財宝の秘密、発行の少女夏代との出会いなど−−−が微妙に絡みあって、教育ママの母親や優等生の兄妹の重圧から彼を解放する。
家庭が持つ強さともろさの二面性を児童文学の中にみごとに描き、読み物としても抜群におもしろい話題作。
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夏代のキャラクター、特に最後の祖父との会話がグー。
過去ではなく今が大事(リアル)という夏代のセリフがいい。さすが山中恒、子どもにこういうことを言わせてしまうところがとてもいい。模 -
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今読んでもまるで古びていない。長男に読ませたら絶対気に入るはずだけど、せっかくだから、まずもう少し年少者向けのものから薦めてみることにした。それにしても、山中恒を読んでいて一番強く感じるのは、でてくる大人が子どもとちゃんと戦っていること。子どもの気持ちを包容力をもって受け止めるとかいうのではなく、迷惑だと思いつつも、無視するのでもなく、おなじ土俵で戦っている。ラストのひとみちゃんのセリフ、「いじわるなおとなになりたい」っていうのは、そういう大人と子どもの葛藤をライフテーマで描いてきた山中恒、一流のメッセージなんだなあとあらためて感じた。
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Posted by ブクログ
小学生の頃に初めて読んだ。
少しエッチな場面にドキドキしたりしながら読んだ事を覚えている。
この本が書かれた当時は、男女の区別が今よりもハッキリしていたのだろうなと思う。
女の子なら母親の家事を手伝うもの、とか、
話し言葉が男っぽいと怒られたりとか。
それに比べて、男の子が女の子ぽい事に対しては、
今のあまり変わらない気もする。
ある程度は許容されているんだろうけど、
イジメの対象になりやすいという点は、あまり変わらないんじゃないかなぁ。
小学6年生で、思春期の始まりのような微妙な時期。
恋愛感情が芽生え始める時期。
大人と子供に狭間のような時期。
女の子の方が少し大人で、
男の子の方 -
Posted by ブクログ
ネタバレ子供向けの読み物と思って油断した。
兄弟の中で、ひとり、出来が悪いと母に毎日小言を言われる主人公、秀一。兄の良一、優一、姉の稔美、妹のマユミ。ほかの兄弟は、成績もよく、母の小言を言われる事がない為、秀一だけが一人、母の小言を受ける事になる。
この本が書かれた当時の時代背景が、今とは違うから、「全学連」などという耳慣れない言葉も出てきて、少々分かりづらい部分もあるけれど、この本の世界に引き込まれる。
妹のマユミの告げ口から、母との言いあいになり、軽い気持ちでした家出が大きな事件になり…。
ここまでめちゃくちゃな母親はないだろう、と思いながらも、これに近い母親はきっといるだろうと思う。
こ