幸田泉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ昔、親に「新聞はインテリが作ってヤクザが売る」と聞かされたり、実際に解約したのに新聞がしばらく投函され続けたりと、あまりよいイメージがない新聞業界。
昨今の新聞購読率が7割以上という調査結果や(60歳以上の高齢者がメインの調査だった)、なんで新聞だけが軽減税率の対象になるとか、不透明な新聞業界をめぐる内部事情を「あくまで小説の立場ながら」垣間見せてくれる小説です。
例えば、新聞の発行部数(よく聞く言葉です)と、実際に顧客に届く部数の間には大きな開きがあり、さらにちゃんと正規の価格を払われている部数はもっと小さいとか。広告なんかは発行部数を元に打たれるので、広告主が実際の数字を見たら、訴求 -
Posted by ブクログ
世の中の人もなんとなくは知っているだろうが、インサイダーが改めて詳らかに語る、新聞販売における"負"の世界の描写は実に読み応えがある。
インターネットの普及により、紙媒体が急速に衰退しつつある今という世相を、無慈悲なぐらいに切り取っている。
充分面白く読めるが、小説としてはちょっと早いテンポでエピソードを積み過ぎかな、という印象も受けた。
おそらく在職中に著者が見聞したであろう、リアルな例をすべて表現する、という目的を優先した結果かと思うが、連作にするか、あるいは続編なども視野に入れた構成にした方が、ひょっとしたらよりスムーズに読み易くなったかも。
エピソードを消化するた -
Posted by ブクログ
本書は、ノンフィクションではなく、「小説」である。
大手新聞の元社会部記者が、敢えてノンフィクションではなく小説という形式、フィクションという形式を選択して書きたかった真実とは....
マスコミ、特に新聞は「権力の番人」として機能することを目的として発展してきたはずだ。
国民の知る権利を守り、時には権力者と反対する意見を展開することにより、社会変革すら引き起こすことがある。
その高邁な理想をもっている新聞社が、販売戦略となると少し怪しくなる。
バイクに景品を山積みし、新聞社主催のイベントチケット、野球の招待券をもち、いま契約している新聞の契約期間がきれたらでいいからうちで契約してくれと、時