ユーザーレビュー 小説 新聞社販売局 幸田泉 全国紙に1989年から25年間、勤めたという元記者による小説。新聞社が販売店に押し付けている「押し紙」「残紙」を巡って販売局の担当員と店主との間に人間ドラマが展開される。実部数が6割という報告書を見る場面や、署長の官舎に夜回りに行く場面など、迫真性に富んだ描写も特長。ついついフィクションであることを...続きを読む忘れさせられる。それにしても、販売店が入金拒否したら、担当社員が立て替えなければならないなんて、ブラック企業も真っ青の話。本当に行われているのなら自殺者が出るのではと心配になってしまう。 Posted by ブクログ 小説 新聞社販売局 幸田泉 昔、親に「新聞はインテリが作ってヤクザが売る」と聞かされたり、実際に解約したのに新聞がしばらく投函され続けたりと、あまりよいイメージがない新聞業界。 昨今の新聞購読率が7割以上という調査結果や(60歳以上の高齢者がメインの調査だった)、なんで新聞だけが軽減税率の対象になるとか、不透明な新聞業界を...続きを読むめぐる内部事情を「あくまで小説の立場ながら」垣間見せてくれる小説です。 例えば、新聞の発行部数(よく聞く言葉です)と、実際に顧客に届く部数の間には大きな開きがあり、さらにちゃんと正規の価格を払われている部数はもっと小さいとか。広告なんかは発行部数を元に打たれるので、広告主が実際の数字を見たら、訴求効果があまりにも小さいので卒倒しちゃうかも。 このギャップである「残紙」をめぐる、新聞社の本音と建前、販売店との制度疲労がありすぎるビジネスモデル、他社との縄張り争い、全てがリアリティーがあり、面白くて一気に読んでしまいました。 とにかく非常に面白い、次の日が休みの夜に開くべき本です。 Posted by ブクログ 小説 新聞社販売局 幸田泉 販促宣伝部元デスクが書いた本。 新聞社のビジネスモデルをあまりに赤裸々に暴露した問題の一冊。 読みながら「あの人っぽいな」とか、「あのことか」と、実際のことに当てはめてしまう。 本当にそのまんま販売局のことを書いてあるので驚いた。 販売局に「左遷」された記者が最初は販売をボロクソに言っていたが(特に...続きを読む内勤)、ストーリー自体は面白く、一気に読んでしまった。 世間に広がると困る本だが、救いなのは新聞社以外の人が読んでもあまり理解できそうなことか。 Posted by ブクログ 小説 新聞社販売局 幸田泉 「押し紙」という新聞社の暗部を中心に物語が進み、最後まで引き込まれるように読み終えた。予想以上の内容で、満足度高し。新聞に興味があり、好きな方ならおすすめです♪ Posted by ブクログ 小説 新聞社販売局 幸田泉 世の中の人もなんとなくは知っているだろうが、インサイダーが改めて詳らかに語る、新聞販売における"負"の世界の描写は実に読み応えがある。 インターネットの普及により、紙媒体が急速に衰退しつつある今という世相を、無慈悲なぐらいに切り取っている。 充分面白く読めるが、小説としてはちょっと早いテンポでエピ...続きを読むソードを積み過ぎかな、という印象も受けた。 おそらく在職中に著者が見聞したであろう、リアルな例をすべて表現する、という目的を優先した結果かと思うが、連作にするか、あるいは続編なども視野に入れた構成にした方が、ひょっとしたらよりスムーズに読み易くなったかも。 エピソードを消化するために、主人公の言動が時にご都合主義にハマり、いかにも作り物っぽくなってしまっている、という箇所をいくつか感じたのがやや残念。 こうした性格の作品を、独立系の小出版社がノンフィクションとして出すのではなく、こんな大企業が小説として出版した、という事実にはいささか感銘を受けた。 Posted by ブクログ 幸田泉のレビューをもっと見る