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Posted by ブクログ
世の中の人もなんとなくは知っているだろうが、インサイダーが改めて詳らかに語る、新聞販売における"負"の世界の描写は実に読み応えがある。
インターネットの普及により、紙媒体が急速に衰退しつつある今という世相を、無慈悲なぐらいに切り取っている。
充分面白く読めるが、小説としてはちょっと早いテンポでエピソードを積み過ぎかな、という印象も受けた。
おそらく在職中に著者が見聞したであろう、リアルな例をすべて表現する、という目的を優先した結果かと思うが、連作にするか、あるいは続編なども視野に入れた構成にした方が、ひょっとしたらよりスムーズに読み易くなったかも。
エピソードを消化するために、主人公の言動が時にご都合主義にハマり、いかにも作り物っぽくなってしまっている、という箇所をいくつか感じたのがやや残念。
こうした性格の作品を、独立系の小出版社がノンフィクションとして出すのではなく、こんな大企業が小説として出版した、という事実にはいささか感銘を受けた。
Posted by ブクログ
本書は、ノンフィクションではなく、「小説」である。
大手新聞の元社会部記者が、敢えてノンフィクションではなく小説という形式、フィクションという形式を選択して書きたかった真実とは....
マスコミ、特に新聞は「権力の番人」として機能することを目的として発展してきたはずだ。
国民の知る権利を守り、時には権力者と反対する意見を展開することにより、社会変革すら引き起こすことがある。
その高邁な理想をもっている新聞社が、販売戦略となると少し怪しくなる。
バイクに景品を山積みし、新聞社主催のイベントチケット、野球の招待券をもち、いま契約している新聞の契約期間がきれたらでいいからうちで契約してくれと、時には懇願し、時には強引に取引を強要する。
公称発行部数は実際の配達部数をカウントするわけではなく、新聞社から販売店に送付された新聞の部数。
そして、実際に配達される新聞の中には、実際に顧客がお金を支払って配達されている部数と、配達されてもお金にならない部数、新聞契約の際に「いま契約してくれるなら3か月は無料で配るから」と契約時に持ちかけられたり、ホテルでご自由にお持ちくださいと山積みされる部数なども含まれる。
もちろん、新聞業界には実際に家庭等に配達される部数と、強制的に販売店に配達される部数の差額、いわゆる「押し紙」または「残紙」は存在しない。
しかし、なぜかオークションサイトには、配達された形跡のない、配送されたそのままの新聞紙が梱包用として売り出されている。
その新聞業界の抱える真実。新聞社の表面にでてこない販売部門の真実を、元社会部の記者が明らかにする。
実在する人物であるから、ノンフィクションという形では表に出すことができなかった、真実の闇であると私は思った。
新聞販売店は、配送された部数の新聞代を新聞社に納入する。しかし、その費用には押し紙の費用も含まれる。当然、売り上げに入っていない新聞の原価も含まれる。そのため、すべての販売店が必ず全額を納入できるわけではなく、入金が滞る場合もありうる。しかし、新聞社には公式には押し紙は存在しない。
そのため、中には販売店が支払うべき費用を、販売店を担当する営業員が.....
全体を小説仕立てにするために、いくつかの他のエピソードも織り込まれ、また、強引かつ不公正な加入事例などにも言及され、また展開が早くとても読んでいて面白い。
いま、まさに、いままで全く議論されなかった、「一部宅配新聞」への軽減税率の適用が、唐突に税調の報告に織り込まれたばかり。新聞は決して権力の番人などではなく、権力にすり寄る番犬であり、その飼い主は国民ではなく権力者であるということが白日に下に晒されている。
そもそも、どれだけの新聞が実際に読者に届き、お金を支払って読まれているか。その事実を当の新聞社でも把握できていない現実。そこに税の優遇を与えるなどという話は、本来議論にすらなり得ない、荒唐無稽な話であるということが良くわかる。
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