ギュスターヴフローベールほかのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
表題のように「愛書狂」
ビブリオマニアの小説を集めたもの
あとがきにはこんなことが‥
『恋の病にはさまざまな治療法が考えられる。
肉体の衰えという自然治癒への期待すら。
それにひきかえ、書物狂の疾患には、
誰もが口を揃えて言うように、快癒の
見込みが完全に絶たれている。
年齢もまたかかわりない』
確かにこれは相当な不治の病!
世界に一冊であったり
初版本
サイン本
内容よりもそのたたずまい
装丁の美しさ
その本のためなら
なんでもしてしまう
すべてをつぎこんで‥‥
フランスにおいてはことに
その病が流行していたようです
登場人物たちのどうにもならない
物欲!怖いけれど
なんか、わかってしまう -
Posted by ブクログ
ビブリオマニア(愛書狂)という不幸な病に侵された人々に焦点を当てた短編集。
登場する人物たち自身はこの世に存在しなくとも、モデルとなった人物がおそらく在ったもので、極めてノンフィクションに近い愛書家小説集であると思います。
一言に「愛書狂」としても、十人十色で様々なタイプが見受けられます。
読書家だけでなく、文字が読めなくとも本の形・装丁だけに拘ったり、いや、そのような難しいことではなく書物の存在自体を愛しているような病人もいるのです。
私自身も書痴であると感じていましたが、この一冊に綴られているような猛者に対しては平伏し、尊敬し、そしてある意味では安心します。 -
Posted by ブクログ
・生田耕作編訳「愛書狂」(平凡社ライブラリー)もまた書物をこよなく愛する人々のアンソロジーである。例のフローベール「愛書狂」に始まつて、A・ デュマ「稀覯本余話」、ノディエ「ビブリオマニア」、アスリノー「愛書家地獄」、ラング「愛書家煉獄」の計5編を収め、更に作者名なしの、たぶん訳者自身による「フランスの愛書家たち」を載せる。作者紹介と訳註があるのは親切でありがたく、私にはうれしい。さうして最後にあとがきと恩地源三郎「解説ー〈愛書狂〉生田耕作」がある。至れり尽くせりである。本書の元版は1980年白水社刊、もはや古典的名著であらう。
・デュマ「稀覯本余話」はエルゼヴィル版「仏蘭西風菓子製法」なる