水川隆夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
夏目漱石「こヽろ」について、成立と構造を述べたのち上・中・下の展開に沿って論。新書版なので持ち運びがしやすく、なおかつすっきりとしている。
上における「私」と「先生」について、鎌倉の海でバシャバシャと泳ぐ私/ぷかりと仰向けに浮かぶ先生などから、「私」と「先生」のあいだにあるずれのようなものを探る。
また、中の「私」と父にスポットを当て「私」の物の見方に対して父の対応が丁寧に拾われている印象があった。
下についてはお嬢さん・おかみさんと先生、Kと先生それぞれにスポット。お嬢さん・おかみさんの計算高さについてはある程度認めながらも自然になされるものと見、Kとの関係については儒教的道徳心と文明開化 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
若い頃から晩年まで、漱石の戦争に関わる言説を網羅的に収集して変遷を辿り、その特質に迫る。
かつてはメディアや「国家主義」への“囚われ”から不適切な判断や表現をしてしまった漱石はその後、内なる「国家主義」をどのように克服し、戦争の悲惨への、独自の認識を深め得たのか?
「国家主義」から「個人主義」へ―近代知識人の、戦争との“闘い”の軌跡を追う。
[ 目次 ]
漱石と日清戦争
漱石と義和団事件・南アフリカ戦争
漱石と日露開戦
『吾輩は猫である』(一)「幻影の盾」と日露戦争
『吾輩は猫である』(二)「趣味の遺伝」と日露戦争
漱石と日露戦後
漱石と第一次世界大戦
結びに代えて―漱石の戦争