確か小4くらいの頃に、小学校に郡司さんがいらしたことがありまして。
バリアフリー教育の一環として、講演いただいたわけですよ。
んで、その時に学級文庫へ『ベルナのしっぽ』がサイン入りで寄贈されたのです。
でも、そうなってくると『ベルナのしっぽ』は、主に女子の間で大人気。
常に誰かが読んでいるもんだから
...続きを読む、
僕は「そんなにムリして読まなくても」って斜に構えて、読むことはなかったのでございます。
そして、約15年の月日が経った今、遂に『ベルナのしっぽ』を読んでみたわけでございました。
さすがに二十歳をとうに過ぎたワタクシといたしましては、
この本が本当に大切なことを伝えてくれていることを理解しつつも、
ややその予定調和っぷりに物足りなさを感じることもありまんた。
でも、子どもが盲導犬に興味を抱くきっかけとしては、本当に良質な書籍になっていると思います。
やっぱり、そういう福祉系の事柄に興味を持つきっかけというのは仕掛けなくてはならないもんですな。
かく言う私は、TVドラマ『ラブの贈りもの』で興味を持った経験があります。
いやあ、あのドラマには本当にハマッたなあ。
そういえば、郡司さんは盲導犬利用者ですので、
当然目の見えない方なわけですけれど、本書の描写の巧みさには恐れ入りました。
郡司さんは27歳で目が見えなくなったということで、
もちろんそれまでに見てきたものと、
そこで起きているであろう現象とを結びつけて描写している面もあるんでしょうけど、
それにしても本当に見ているかのような書き口。
小学校で講演してくださった別の盲目の方は
「盲目の人と健常者は、当然違うものなので、
みなさんが目をつぶった状態が盲目であるとは考えないでください。
それで感じるような恐怖心は私たちには無いです。」
というような注意をしてくださいましたが、きっとそういうことなんだろうなあ。
つまり、見えないけれど見えている的なね。
ところで、本書の中には違和感をおぼえる部分もございましてね。
もしかしたら、ネタバレになっちゃうかなあ?
そのへんは、各自で注意をば(笑)。
それは「ベルナ」が年老いて尚、盲導犬として頑張るという部分なんですけれど、
いわゆるヨボヨボな状態になってまで、
盲導犬としてバスや公共施設に出入りするというのはどうなんだろう。
誤解を恐れず強い言い方をするのであれば、
盲導犬としての機能を失ってしまえば、それはもう盲導犬ではないわけで。
「ベルナ」の場合、獣医さんからの引退勧告も出ているわけだし。
現在は、そういうことに関して、何らかの明確な基準ってあるのかしらん?
【目次】
プロローグ――お母さんになりたいな
一章 心を通わせて
二章 初めての町で
三章 赤ちゃん誕生
四章 みんな家族
五章 二人はきょうだい
六章 老いていく日々
七章 ベルナの“反乱”
八章 さようなら、ベルナ
あとがき
(イラスト/きたやまようこ)