内藤正敏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
歴史とは権力者=勝利者から見たものである。なぜなら権力に屈した者や排除されてきた者=敗者は歴史を残すことができないからだ。そのような敗者は歴史の中で「鬼」と呼ばれてきた。本書では,民俗学者と写真家のふたりが対談を通じて,そのような「鬼」たちこそが実は日本の文化を生み出し歴史を築き上げてきたのだと論じている。
本書では幾つかの側面から鬼について語られている。鬼とは何なのか,そして鬼は社会の中でどのような役割を果たしてきたのか。権力者に敵対し敗れた者たちは社会の周辺に排除され,やがて鬼と呼ばれるようになる。主流をはずれた彼らは独自のネットワークを築き,商工業などで力を蓄えていく。一方で権力者たち